いつも飲んでいるコーヒー豆。しかし、その前の工程である精製についてご存知の方はなかなかいないのではないでしょうか。
精製とはコーヒーの種を取り出して生豆の状態にすること。今回ご紹介するコーヒーのナチュラル精製(非水洗式)は、中でも最もシンプルな方法と言われています。
この記事ではその特徴や味わい、精製の手順を詳しくご紹介します。
精製について知ると、コーヒーがさらに味わい深くなりますよ。
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コーヒーのナチュラル精製(非水洗式)とは
ナチュラル精製とは、コーヒー生豆の精製方法
コーヒーチェリー(コーヒーの実)を収穫したのち、天日や機械で約15~30日ほど乾燥させます。
乾いたら果肉などを取り除き、脱穀し生豆の状態へ。
すぐに脱穀せずに保管する、などの細かな違いはありますがこのような流れでコーヒーの生豆に仕上げられています。
水で洗わずに仕上げる精製方法のこと
コーヒーのナチュラル精製(非水洗式)は、水を使用しません。
果実を水に浸け発酵させてから、さらに水で洗い流すというウォッシュド精製とは大きく異なっています。
エチオピアやイエメンなどの水源に乏しい地域ではじまったとされるナチュラル精製(非水洗式)。
気温が高く、日射しが強い地域ではとても理にかなった方法と言えます。
コーヒーのナチュラル精製の特徴
熟したフルーツのような味わいになる
果実の甘みやフレーバーがしっかりとコーヒー豆に凝縮されるナチュラル精製(非水洗式)。
しっかりとした味わいになり、フルーティーな甘みが感じらます。酸味はやや抑えめ。
ワインのような味わい、と評されることもあるはっきりとした個性のある風味に仕上がります。
ブルーベリーやストロベリーのような味わいが強く感じられるものも。
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水源の少ない地域でも精製しやすい
ナチュラル精製(非水洗式)は乾燥地域や水が確保しにくい地域で行われています。
コーヒーチェリーをそのまま乾燥させ脱穀する、という方法は水を使用する工程がないため水源の乏しいエチオピアなどの国々で発達してきました。
水の少ない地域にとってとても精製しやすい方法である、ということですね。
余計な加工をしないことで豆の良さを知ることができる
コーヒーチェリーをそのまま乾燥させることで、甘みや旨味が豆に染み込むナチュラル精製(非水洗式)。
他の精製方法と比較して長い間果肉の成分や風味に影響を受け続けるため、その品種らしさ・味わいがしっかりと感じられます。
個性が際立つコーヒーを楽しむことができるのも魅力です。
コーヒーのナチュラル精製の手順
1. コーヒーチェリーの収穫
白い花が咲き、その花の数だけ実がなるコーヒーの木。
コーヒーチェリーは約半年かけて成長し、成熟期を迎える頃に収穫がはじまります。
1つひとつ手摘みで行われるところもあれば、大規模農園などは機械で一斉に行うこともあります。
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2. 天日乾燥
アフリカンベッドと呼ばれる乾燥棚、パティオ(乾燥場)、ネットなどでの天日乾燥を行います。
また機械での乾燥も。方法や気候、天候にもよりますが数日から数週間かけて乾燥をさせます。
乾燥中はムラが出ないように撹拌(かくはん)したり、日射しが強すぎるときはかぶせものをします。
3. 果肉除去、脱穀
乾燥が進んでくるとコーヒーチェリーが赤色から紫などくすんだ色に。
この色の変化や水分値を見て引き上げ、一定期間倉庫などで保存します。
その後、ドライミルに運ばれ果肉の除去や脱穀、選別工程へと進みます。
4. 生豆
脱穀後、さらに研磨をかける場合もあります。不純物や欠点豆を取り除いて生豆の状態へ。
乾燥中も選別をしながら、コーヒー生豆としての精度をあげていく必要があります。
コーヒーのナチュラル精製が有名な国
ブラジル
広大な土地でプランテーションされているため、水を使用することができません。
機械収穫がメインのため、状態の良いコーヒーチェリーのみを集めることが難しくなります。
ナチュラル精製(非水洗式)が多いブラジルですが、パルプトナチュラルという精製方法も広く採用されています。
エチオピア
Coffee Soldier (コーヒーソルジャー)
モカジャバ
参考価格 1,460円
伝統的にナチュラル精製(非水洗式)が行われてきた国。
現在でも多くのステーション(精製施設)で採用されています。
独特の香気やフルーティーな風味があるためファンが多く、また日本での取り扱いも多いコーヒー豆です。
イエメン
イエメンも伝統的な製法、品種が保持されている特殊な産地。
イエメンで行われる、ナチュラル精製(非水洗式)は他では味わえない唯一無二の香味を放ちます。
厳しい国内情勢によって入手しづらい状況が続いていましたが、近年では高品質のものが届いています。
コスタリカ
伝統的にはウオッシュトの産地ですが、近年では香味の多様さを追求するためナチュラル精製(非水洗式)を採り入れる生産者も多くなっています。
標高の高いコスタリカの厳しい環境で育った豆は、甘みのつまった特別な味わいに仕上がります。
その他のコーヒー精製方法
ウォッシュド精製(水洗式)
コーヒーチェリーを収穫後、水につけ発酵させます。その後さらに水洗いして不純物などを洗い流す方法。
乾燥は天日や機械で行い、また脱穀をした後コーヒー豆として出荷します。
すっきりとした味わいで、ほどよい酸味のある仕上がり。豆そのものの美味しさが引き立ちます。
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ハニープロセス(パルプドナチュラル、半水洗式)
ウォッシュドとナチュラルの良いとこどり、と言われる方法。
粘液質は洗い流さずに乾燥させることで、独特の甘みのあるコーヒーに仕上がります。
ハニープロセス、の名の通りハチミツのような甘さと風味が感じられます。
スマトラ式
インドネシアのスマトラ島で伝統的に行われてきた方法。
予備乾燥、本乾燥と2度の乾燥を行うという点が特徴的です。
雨の多いスマトラ島ならでは。
生豆が独特な深緑色になり、ハーブのようなエキゾチックな香味が感じられます。
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編集部ライター・営業
コーヒーフレーバーのお菓子は見かけたら必ず買ってしまうほど大好きです。コーヒー好きの両親の影響で、中学生からドリップしていました。カフェや喫茶店はもちろんですが、子どもがいるため自宅でゆっくりとコーヒーを楽しんでいます。