コーヒーの産地にもいろいろありますが、サードウェーブコーヒーのブームによって、最近注目されているのがケニア共和国で栽培された「ケニアコーヒー」です。
ケニアコーヒーの味わいや等級について、また焙煎度によって味が変化するのも魅力のひとつ。
深煎りと浅煎りで、どのように味わいが変わっていくのかについても見ていきましょう。
この記事を書いた人
ケニアコーヒーとは
アフリカのケニア共和国で栽培されるコーヒー豆は、総称で「ケニアコーヒー」と呼ばれます。
コーヒー豆の大きさや形によって細かく等級が分かれ、アフリカ圏のコーヒーとしては高品質として評価されています。
独特の風味を持ち、品質管理もしっかりされているため、多くのコーヒー愛好家から支持されています。
ケニアでは年2回雨季があり、赤道近くのケニア山周辺の高山地帯では1日の気温差が大きいため、コーヒー栽培に適した気候だと言われています。
こうした厳しい気候に対応することで、コーヒー豆の風味がアップするのです。
ケニアコーヒーの特徴と味
浅煎りではフルーティーで強い酸味を味わえる
実はケニアコーヒーの大きなポイントは「焙煎度」によって味が大きく変わるということです。
浅煎りのケニアコーヒーは、香りが高く酸味も感じられます。
グレープフルーツやカシスなど柑橘系の果物を思わせるような酸味があり、あとに残る味わいもすっきりと爽やかです。
サードウェーブコーヒーだと割と浅めで淹れるケースが多いでしょう。
[関連]フルーティーで華やかな香りのコーヒー人気おすすめランキング
深煎りでは芳醇な香りと苦味を味わえる
一方、中煎りから深煎りにすると酸味は控えめになり、苦味が出て香ばしく芳醇な香りと甘みを感じられます。
アフリカのコーヒーらしいスパイシーで力強い味へと変化するのです。
後味も決して悪くはなく、味にも余韻を感じることができます。
飲み方としてはユニークな味わいをもっとも楽しめる「ブラック」がおすすめです。
酸味が強く花のような香りのアラビカ種
一年を通じて降雨量が多く、水はけの良い土壌を持つケニアですが、世界的にも有名なアラビカ種も多く栽培されています。
現在生産されているコーヒー豆の約6~7割がアラビカ種であり、コーヒーの有名店(スターバックス・カルディなど)で販売しているコーヒーもアラビカ種が多いです。
アラビカ種は酸味が強く花のような香りを持っています。
ケニアでもっとも有名なアラビカ種はSL28という種類で、もともとはタンザニアで発見されて「SL」とはスコット研究所(Scotto Laboratories)の略称であり、28番目に開発された品種を意味します。
数あるSLシリーズでも最高品質の呼び声も高いです。
この種は豆も大きく干ばつにも強いため、低地・高地を問わず栽培可能であり、アフリカ全土で栽培が増加している品種です。
酸味とコクのバランスが絶妙で、「ケニアフレーバー」と呼ばれる豊かな香りを持ち、濃厚な味わいです。
[関連]アラビカ種のコーヒー豆の特徴と品種について解説します。
香ばしくスイーツとの相性も良いロブスタ種
ロブスタ種は、アラビカ種と比較すると日本人にはまだなじみが薄いかもしれませんが、カフェインの含有量がアラビカ種の約2倍とされます。
病気にも強く濃い味で栽培しやすいので流通量も多いです。
またアラビカ種と比べて風味が変化しにくいメリットを生かして、加工品でもよく使われていますが、近年はうちで飲むコーヒーとしても人気を集め始めました。
まるで麦を炒ったかのような香ばしさでスイーツとの相性も抜群なので、アラビカ種とは違った個性を発揮します。
[関連]コーヒー豆のロブスタ種(カネフォラ種)とは?特徴や飲み方について徹底解説
▼ケニアコーヒーの味わい
ケニアコーヒーの等級
ケニアコーヒーは精製法によって大きく2種類に分けられ、さらにその中でも細かい等級で分類されます。
「水洗式精製法」はウォッシュドとも呼ばれて、多くのコーヒー生産国で採用されている方法です。
コーヒー豆(種子)はコーヒーチェリーの中に2つ向き合って入っており、コーヒーチェリーを選別した後に水槽に入れ、不純物と完熟したチェリーを分けて、果肉を取り除き、粘液質を除去してから乾燥・脱穀する方法です。
工程としては少しややこしいですが、その分粒のそろったクリーンなコーヒー豆に仕上げることができます。
具体的な等級は生豆の粒の大きさを基本にして以下の通りです。
水洗式精製法を使ったケニアコーヒー豆
等級 |
特徴 |
PB |
最も貴重で収穫量の少ない |
AA |
7.20mm以上 |
AB |
6.80mm~7.19mm |
C |
6.79mm以下 |
E |
ふるいの中で最も小さいサイズ |
TT |
ふるいにかからなかったサイズ |
T |
最も小さいサイズ |
等級は製豆所で内果皮を取り除いた後に重さや形に応じて分けられます。
ケニアには7つの認可された商業的コーヒー製豆所と、いくつかのプライベートな製豆所があって、そこで選定されるのです。
「水洗式精製法」を使わない場合は、ナチュラルとも呼ばれ、収穫したコーヒーチェリーをそのまま乾燥して、脱穀し生豆を取り出します。
低コストで環境にも優しい方法であり、収穫した直後は真っ赤だったコーヒーチェリーが、2~3週間乾燥させることで茶色く変わって萎みますので、脱穀機で豆を取り出します。
その風味も独特のものになりますが、水洗式精製法と比べると豆の均一性には欠けるところがあります。
等級は以下のように分かれます。
水洗式精製法を使っていないケニアコーヒー豆
等級 |
特徴 |
MH |
重いムブニ |
ML |
軽いムブニ |
水洗式精製法を使っていないコーヒーチェリーは「ムブニ」と呼ばれ、コーヒー生産量全体の約10%を占めており2種類に分けられ、普通のコーヒー豆より安く取り引きされます。
[関連]コーヒー豆の等級(グレード)を生産国別に詳しく解説!
ケニアコーヒーの歴史
約100年前からコーヒー栽培がスタート
ケニアコーヒーの歴史はおよそ100年で、1893年にフランスの宣教師がレユニオン島から持ち込んだ説と、1900年にイギリス人から持ち込まれた説があります。
コーヒー研究財団により高い品質が維持されている
ケニアはお隣がコーヒーの発祥地・エチオピアでありながら、コーヒーの栽培では後進国です。
しかしコーヒー生産者の共同出資で世界初のコーヒー研究機関「コーヒー研究財団」が1934年に創立され、コーヒーの生産・マーケティングについても詳しく研究されています。
本機関が定めるルールにのっとり、農園管理や栽培・加工・精製を行い格付けも管理されているために、ハイレベルなケニアコーヒーを保つことができるのです。
今では15万人のコーヒー農家がいるとされる
約70%のケニアコーヒーは小規模農家の手によって生産されており、コーヒー農家は15万人ほどで、生産量も特に多いわけではありません。
しかしながらコーヒー研究財団の徹底的な品質管理が認められて、今やコーヒーを語る時には外すことができないのがケニアコーヒーなのです。
ケニアコーヒーの美味しい淹れ方
ケニアコーヒーの美味しい淹れ方をここで2種類紹介しましょう。
ケニアコーヒーの酸味を味わいたいなら浅煎り
① 中細挽きでバランス良く抽出
② お湯は90℃で用意
③ お湯は早めに注いでいく
④ 2分ほどで抽出を終える
雑味が出ないように中細挽きでバランス良くコーヒーを用意しましょう。
早めにお湯を注ぎ、早めに抽出を終わらせることでしっかりと酸味を抽出することができます。
特に重要なのは2湯目の注ぎ方で、一気に多く注げばさっぱりした味、少しだけ注げば濃い味になります。
ケニアコーヒーの芳醇な香りを味わいたいなら深煎り
① 中細挽きでバランス良く抽出
② お湯は92℃で用意
③ お湯はゆっくり注いでいく
④ 20秒~30秒ほど蒸らす
⑤ 3分ほどで抽出を終える
コーヒーをしっかりと蒸らすことでケニアコーヒー特有の香りや甘み、苦味を抽出しましょう。
雑味が出ないように長くても3分ほどで抽出を終わらせるのがポイントです。
お湯を注ぐ回数は多くなればなるほど、味・コクは出ますので、何度か試してお好みの味を見つけるといいでしょう。
ケニアコーヒーのおすすめの飲み方
ケニアコーヒー特有の酸味や香りを感じられるため、まずブラックで飲むことをおすすめします。
もし酸味や苦味が出すぎてしまった場合には、ミルクとあわせてもマイルドになっていいでしょう。
深煎りであればアイスコーヒーとして楽しむのもアリです。
[関連]コーヒーフレッシュ(コーヒーミルク)のおすすめランキング
まとめ
ここまでケニアコーヒーの味の特徴や品種やその歴史、おすすめの飲み方やどうして世界的に高く評価されているかなどについて見てきました。
とくにヨーロッパ各国では以前からケニアコーヒーの銘柄は好まれており、オークションでも高品質なケニアコーヒーの豆が多数取り引きされているほどです。
最近では日本でも手軽にケニアコーヒーを購入できるところが増えてきたので、気になった方は一度ケニアコーヒーを味わってみてはいかがでしょうか。
アフリカのコーヒー豆は各国強い個性を持つので、エチオピアやタンザニアの銘柄と飲み比べてみるのもいいかもしれません。
力強くもフルーティー、大自然を感じる味わいのケニアコーヒーをぜひ試してみてください。
人気のコーヒーアイテムをランキング形式で厳選してご紹介!
ランキングをチェックする
▼あなたにおすすめの記事▼
この記事を書いた人
編集部ライター
かつてプロのパティシエを6年間経験。コーヒーとスイーツとのマリアージュの面白さに気づき、様々なスイーツとコーヒーとのペアリングを追求している編集部ライター。
休日は自分で作ったスイーツと、コーヒーでゆったりとしたコーヒータイムを送っています。