マキネッタというコーヒーの抽出器具はイタリアで誕生してから、日本でもコレクターがいるほど隠れた人気のあるコーヒー器具です。
今回は「ビアレッティ社」のモカエキスプレスを使って解説をしていきますが、このモカエキスプレスというモデルは世界中で愛されている抽出器具です。
MOMA(ニューヨーク近代美術館)の永久展示品にも選ばれているのです。
マキネッタに興味をお持ちの方はぜひ最後まで読んで頂いて参考にして頂ければと思います。
いつもと一味違ったコーヒーを味わう事が出来ますよ!
この記事を書いた人
コーヒーオンラインショップ・ブログ運営/フリーライター
A&K COFFEEのKINEOです。コーヒーが大好きで、四六時中コーヒーと戯れています。現在は『コーヒー豆を完全受注焙煎にて自家焙煎するオンラインショップ』と『A&K COFFEEブログ』を運営しています。コーヒーの魅力や知識・技術、そして有益な情報を発信し共有して頂けたらと思っております。
マキネッタとは?
マキネッタは、別名「直火式エスプレッソマシン」。その「直火式エスプレッソマシン」の総称をマキネッタと言います。
マシンとは言ってもアナログではありますが、濃厚なエスプレッソ(モカ)を抽出する事が可能です。
主に家庭用として作られたもので、カフェなどにある機械式のエスプレッソマシンと比べると抽出圧は低くなりますが濃厚なコーヒーを抽出可能です。
イタリアでは直火式エスプレッソマシンで抽出したコーヒーを「モカ」、機械式で抽出したコーヒーを「エスプレッソ」と呼び分けています。
ちなみに「エスプレッソ(ESPRESSO)」とは、イタリア語で「急行」や「特別に」、「あなたのために」という意味を表しています。
蒸気圧を利用して短時間でコーヒーを抽出する事から英語のEXPRESS(急行)が語源となっているわけですね。
気軽にエスプレッソが楽しめる
初めは少々無骨に感じるかも知れませんが扱い方は至って簡単です。
コーヒー豆を挽いて水と粉をセットし、直火にかければあとは蒸気圧で勝手にコーヒーを抽出してくれます。
イタリアの家庭では一家に一台必ずあると言われていますが、この扱いやすさもあっての事でしょう。
マキネッタの使い方
今回使用するマキネッタは、「ビアレッティ社」のモカエキスプレス1CUPのものになります。
この「ビアレッティ社」は、イタリアではマキネッタのシェアNo.1でほとんどのマキネッタはこのメーカーの物になるかと思います。
特にここのメーカーのロゴマークは有名で、「ビアレッティおじさん」なんて言われています。
この可愛らしいロゴも手伝ってとても愛着の湧く抽出器具のひとつです。
マキネッタを使い初めの場合には湯通しをする
マキネッタは金属製(アルミ製)のため、使い始めは「金属臭」を感じる事があります。
ですので、最初はいきなりコーヒーを淹れるのではなく、淹れる前に3~5回ほど実際に沸騰させたお湯だけを通してから使用するようにしましょう。
そうする事で「金属臭」と取り除く事が出来ますので必ずやる事をおすすめします。
また、使い古しのコーヒーかすがあればそれを使用して抽出し、器具を馴染ませるのも良いです。
実際にコーヒーを抽出する前に、この過程を経ることで抽出要領の確認も出来るので安全の観点からも必ずやるようしましょう!
STEP1. マキネッタを分解する
① マキネッタの水タンクを取り外す
マキネッタの下部(水タンク)を正しく回して取り外します。
② バスケットを取り外す
水タンク内にセットされているバスケット(コーヒー粉を入れる部分)を取り外します。
③ 突起を目安にして水を入れる
水タンク内の突起部分をよく確認し、規定量まで直接水を入れます。
(突起部分よりやや下のラインが目安になります。)
応用として最初からお湯を水タンクに入れるやり方もありますが、初めての方は水からやりましょう。
次はバスケット内にコーヒー粉を詰めていきます。
STEP2. バスケットにコーヒー粉を入れる(細挽き)
① コーヒー粉をバスケットに入れる
まずはコーヒー豆約8gを「細挽き」に挽き、バスケットへ入れます。
マキネッタは抽出圧が強いわけではないので、極細挽きにすると詰まってしまい危険です。
細挽きにしておき、機械式エスプレッソマシンのような「極細挽き」には絶対にしないよう注意しましょう。
▼細挽きと極細挽きの違い
極細挽きはお菓子作りに使う「粉糖」に近い細かさです。
コーヒー粉は少ないよりも若干多めがおすすめ。バスケットに入れた時に山盛りになるくらいがいいでしょう。
以上の点に注意してコーヒー粉を詰めていきましょう。
② レベリングで平らにしていく
そしてバスケット内に粉を入れたら少し山盛りになっているかと思います。
指を使って粉を平らにならしていきます。この作業を「レベリング」と言います。
③ 矢印の方向へ平らにする
人差し指と親指を画像のように形作って、矢印の方向へなぞるようにして回しながら粉を平らにします。
④ 粉を押し固める
最後に少し山のまま残った粉を指で軽く押し固めます。
レベリングの際は、粉をあまり強く押し固めず優しく平らにしていきましょう。
STEP3. ボイラーとサーバーをセットする
バスケットにコーヒー粉が詰め終わったら水タンク内にバスケットをセットし、マキネッタの抽出部(上の部分)にゆっくりと回し込んで組みます。
なるべく水平を保つようにして組みましょう。(粉と水が入っているため)
マキネッタの上下が緩まないようにしっかりと締め込みます。
STEP4. 直火でゆっくりと弱火にかける
では実際に直火にかけていきましょう。
今回は携帯用のガスバーナー「HOTERY ミニガスバーナー HT-5015PA」を使用しています。
注意点
- マキネッタはサイズが小さいので、専用の五徳を使用するかアウトドア用品のミニガスバーナーを使用する(IH可)
- マキネッタ本体からはみ出るくらいの強火はNG(よく取っ手部分が溶けている人はこれが原因です。)
- 弱火から中火くらいにすること
- 火を使用するので、目を離さない(お子様がいる場合は特に注意)
STEP5. 蒸気でコーヒーが抽出されてくる
水が沸騰し蒸気圧でコーヒーがマキネッタ上部に抽出されてきます。
※今回は写真撮影のためフタを開けていますが、通常は閉めて抽出を行ってください。
熱されたコーヒー液が飛び散る可能性があって危険です。
STEP6. 音をよく聞く!ポコポコと音が鳴ったら終わりの合図
3~5分程度でコーヒーが上部に抽出されてきます。
ここまで来たら後は抽出終わりを待つだけなのですが、その抽出終わりを見極める”コツ”があります。
それは「音を聞くこと」です。
マキネッタは、抽出終わりのサインとして「ボコボコッ」という音を聞き分けます。
聞いていれば「これか!」というわかりやすい音が出ますので、それを聞いたらすぐに火を止めましょう。
火のかけ過ぎはコーヒー液が焦げ付いたりして味を落とすのでなるべく早く火を止めましょう。
STEP7. 完成!カップに注ぐ
出来上がったコーヒーをカップに移して完成です。
最後の注意点として、出来上がったコーヒーを飲んで気が緩んだところに、まだ熱い状態のマキネッタをうっかり触ってやけどをする事があります。
十分にマキネッタが冷えたことを確認してから、触るようにしてください。
マキネッタを使い終わった後のお手入れの仕方
まずマキネッタが十分冷えている事を確認してから触るようにしてください。
お子様がいる場合は、熱いうちは手が届かないようにするなどの配慮をしてください。
STEP1. マキネッタを分解する
① 3つのパーツに分解する
十分に冷ましたマキネッタを「抽出部」「バスケット」「水タンク」の3部品に分解します。
② バスケットからコーヒー粉を出す
分解が出来たらバスケット内のコーヒー粉を出して捨てます。
残っているコーヒー液があればこれも捨てましょう。
STEP2. 水洗いのみにする
次にマキネッタを洗っていきますが、中性洗剤などの家庭用洗剤で洗う事は厳禁です。
基本的にコーヒーの器具というのは、拭き取ったり水洗いが多いのですがこのマキネッタも同様です。
STEP3. 布巾の上などに逆さにして乾燥させる
イタリアでは、「マキネッタには各家庭の味がある。」なんて言われています。
これは、マキネッタ自体に各家庭のコーヒーの味が染み込んでいくことから、そう言われているようです。
こういった器具自体に「味が出る」という要素もマキネッタ愛好家から好まれているのでしょうね。
マキネッタを使ってコーヒーを飲む良さ
マキネッタには魅力がたくさんあり、主に以下のような良さがあります。
ポイント
- いつもと違ったコーヒータイムを味わえる
- 直火を使うため家にいながらアウトドアの雰囲気を味わえる
- 器具も味もイタリアを感じられる
- エスプレッソまではいかないが濃厚な「モカ」を楽しめる
- 「モカ」にお好みでお湯を足せば、すぐに「エスプレッソ・アメリカ―ノ」に出来る
- アウトドアシーンでも大活躍する
- マキネッタにとても愛着を感じる
マキネッタにはこれだけの魅力があります!
マキネッタの歴史は長いですし、もっとたくさんの魅力を発見できると思いますよ。
まとめ
今回は歴史のあるコーヒー器具の「マキネッタ」を紹介してきました。
冒頭でも解説した様に世界中にコレクターがいる程人気のあるコーヒー器具ですから、その魅力を少しでも伝えられたなら幸いです。
とはいえ日本では愛好家を除けば、まだまだ知る人の少ない器具かも知れません。
これだけ抽出方法が変われば気分はもちろん、器具も味も変わってまた一段と充実したコーヒー時間を楽しむ事が出来ると思うからです。
そしてなによりこのマキネッタという器具はコスパに優れています。
比較的手にしやすい価格なので、そこもおすすめしたい理由のひとつです。
ご興味のある方は是非使ってみる事をおすすめします!
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KINEO
コーヒーオンラインショップ・ブログ運営/フリーライター
A&K COFFEEのKINEOです。コーヒーが大好きで、四六時中コーヒーと戯れています。現在は『コーヒー豆を完全受注焙煎にて自家焙煎するオンラインショップ』と『A&K COFFEEブログ』を運営しています。コーヒーの魅力や知識・技術、そして有益な情報を発信し共有して頂けたらと思っております。たくさんの方の素敵なコーヒーライフの参考になれば幸いです。