ブルボン種とはコーヒー豆の一種で、良質な豆で知られるアラビカ種に属しています。
豊かな風味とコク、上質で甘みのある味わいが特徴で、サイズはほかのコーヒー豆に比べると小粒です。
中南米を中心に世界各地で栽培され、派生品種も多いため、幅広く愛飲されています。
ブルボン種発祥の地など、その歴史や豆の特徴、ブルボン種から派生した品種の数々などをみていきましょう。
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コーヒー豆のブルボン種とは
ブルボン種はアラビカ種に属するコーヒー豆のことで、その品質の高さから人気もあるので、コーヒー通の方なら一度は耳にしたことがある名前ではないでしょうか。
その歴史も古く、1700年代にヨーロッパから持ち出されたのをきっかけに、現在はブラジルなどの中南米を中心に世界各国で幅広く生産されています。
小粒な豆ですが豊かな風味でコク深く、長い間たくさんの方に飲まれ、愛され続けている品種です。
アラビカ種の派生品種
ロブスタ種やリベリカ種と並んでコーヒー豆の3大品種であるアラビカ種。
といっても1つではなく、突然変異や品種改良などによりアラビカ種から派生した品種はなんと200種以上あります。
そして、ブルボン種はそのうちの1つに当たります。
アラビカ種から派生したのがティピカという品種で、ブルボン種は、さらにそれから派生したものです。
[関連]アラビカ種のコーヒー豆の特徴と品種について解説します。
派生品種がとても多く、優良品種が豊富
原種であるアラビカ種から次々と派生し、生まれていったアラビカ種系のコーヒー豆。
ブルボン種もそのうちのひとつでイエメン原産の原種系品種と言われています。
このブルボン種からも品種は次々と誕生しており、カトゥーラ種やSL系など、人気の品種が豊富です。
コーヒー豆のブルボン種の歴史
ブルボン種の歴史は古く、1700年代にはすでに生まれていたとされています。
インド洋に浮かぶ島に持ち込まれたティピカ種が土地の環境により突然変異を起こし、新しい品種として誕生しました。
ここから、300年以上にもわたる長いブルボン種の歴史や名前の由来などをみていきましょう。
1715年にレユニオン島(ブルボン島)で誕生
ブルボン種の始まりは1715年。フランスがイエメンからインド洋のレユニオン島(別称・ブルボン島)にコーヒーの苗が持ち込んだことがきっかけでした。
17世紀頃から、オランダからインドネシアへ持ち出すなど、ヨーロッパが徐々に世界各地にコーヒーの木を広めていたのです。
移植後は、レユニオン島の地に根付くことが成功し、やがてブルボン種が収穫されるようになったのです。
ティピカ種の突然変異でブルボン種になる
もっとも、最初からブルボン種があったわけではなく、ブルボン島に苗が持ち込まれた当初はティピカ種のコーヒーでした。
移植後、火山灰土壌などや気候など、ブルボン島の環境条件が原因で栽培していた豆が突然変異を起こしました。
それがブルボン種と名付けられ、ティピカ種とは別のまったく新しい派生品種として幅広く知られるようになったのです。
生まれた島の名前からブルボンと名付けられる
ブルボン種という品種名の由来は、突然品種によって生まれた始まりの地・インド洋のレユニオン島から来ています。
当時、このレユニオン島が別名ブルボン島と呼ばれていたため、ブルボン種という名前になったとされています。
すでに18世紀からこの名前が付けられており、現在も変わることなく愛され続けているのですね。
19世紀後半にはブラジルに渡って世界的に広まる
レユニオン島からヨーロッパへの輸送は難しく、19世紀初頭にはブルボン種の栽培が減少し、衰退してしまいます。
そのため、19世紀後半にはコーヒーの生産大国であるブラジルへ移植されました。
ブラジルは気候などの生産環境がコーヒー栽培に適しているため、ブルボン種は無事この地で発展を遂げ、派生品種も数多く生まれています。
コーヒー豆のブルボン種の特徴
ブルボン種は、ティピカ種と並んでアラビカ種の中でも優良な品種です。
ただ、病害虫などに弱く、丹念な手入れが必要であることから大量生産はできません。
収穫できる年も隔年のため収穫量はそれほど多くはないのですが、ブルボン種よりさらに弱いティピカ種に比べると、20~30%程収穫量は多くなっています。
ティピカ種と並ぶ2大優良品種のブルボン種
アラビカ種自体はもともと良質な豆で知られていますが、その中でもティピカ種とブルボン種はとりわけ質が良く、2大優良品種と呼ばれるほどです。
ティピカ種はアラビカ種の原種により近く、ブルボン種は「ティピカ種が突然変異して生まれたもの」「イエメン原産の原種系品種」なので、品質はどちらが上かということも気になりますよね。
品質のよさは、どちらも同じくらいとされています。
[関連]ティピカ種とは?コーヒー品種の特徴と味わい、歴史について
病害虫に対する耐性は弱い
アラビカ種はもともと病害虫や気候など環境の変化に弱く、育てるのが難しい品種ですが、アラビカ種に属するブルボン種もまた同様です。
特に病虫害や、カビの一種であるさび病などに注意して育てないとすぐ枯れてしまいます。
ゆえに手入れに手間がかかり大量生産することが難しいため、コーヒー豆の品種としては希少といえます。
[関連]コーヒーの欠点豆とは?種類や取り除くポイントについて解説
ティピカ種と比べて20~30%収穫量が多い
ブルボン種は、ティピカ種より20~30%程度収穫量が多いとされています。
ブルボン種自体は病害などに弱く、収穫も2年に1度と隔年で行われるため、ほかの品種に比べても収穫量はそれほど多くありません。
ただ、ティピカ種はさらにブルボン種よりも弱い品種なので、ブルボン種に比べると収穫量は減ってしまうようです。
出荷量が多い分、ブルボン種の方がティピカ種に比べて安価で取引されています。
コーヒーのブルボン種の種類
ブルボン種の中でも、特に希少なイエローブルボンとピンクブルボンという品種があります。
通常のブルボン種は熟すと実が赤くなりレッドブルボンと呼ばれているのに対し、この2つはそれぞれ黄色とピンク色になるためこう呼ばれます。
味も個性が異なり、イエローブルボンは甘みが強くフルーティー。ピンクブルボンは、酸味が強く、煎り方によっては甘みが出てきます。
イエローブルボン
PostCoffee(ポストコーヒー)
ブラジル カチョイラ
参考価格 1,382円
ブルボン種の亜種で、その名の通り、熟したコーヒーチェリーが黄色になるものを指します。
通常のブルボン種よりも甘みがあるのが最大の特徴で、フルーティーな甘酸っぱさを感じられます。
なめらかなコクで、マイルドな口当たり。風味が良いので飲みやすく人気です。
クセがないため、コーヒー初心者や苦いのが苦手という方はぜひ試してみてください。
ピンクブルボン
コーヒーチェリーが熟すと、オレンジがかったピンク色になるためこう呼ばれています。
通常のブルボン種と同じく実は小ぶりですが、熟しても固いのが特徴です。
浅煎りだとゲイシャのような華やかなアロマを感じられますが、酸味がかなり強め。
中煎りにすると甘みとコクが引き出されるため、酸味が苦手な人には中煎り以上のものがおすすめです。
ブルボン種の主なコーヒー生産国
ブルボン種は、第2の故郷となるブラジルや、グァテマラなどの中南米以外にも、ルワンダやケニアなどのアフリカ圏でも栽培されています。
中南米はバランスが良く飲みやすいのもの、アフリカはフルーティーなものやスパイシーなものなど、生産地によってそれぞれ個性も違います。
ぜひ飲み比べて、その土地ならではの味わいを感じてみてください。
ブラジルやグァテマラなどの中南米
ブラジルやグァテマラなどの中南米産のブルボン種は、爽やかな酸味、ほどよい苦味などバランスが良いものが多いですが、ブラジル産は特にその点で優れています。
ナッツのような芳ばしく甘い香りが特徴で、深いコクが楽しめますよ。
クセがなくマイルドで飲みやすく、さっぱりしているため、コーヒー初心者にもおすすめです。
ルワンダやケニアなどのアフリカ
ルワンダやケニアなどアフリカ圏産のブルボンは、柑橘系やベリー系のニュアンスを感じるフルーティーな香りや酸味が特徴です。
その中にもワイルドな野性味があり、アフリカの広大な大地を思わせます。
スパイス感もあるため、マイルドでクセの少ないブラジルよりも豆の個性を楽しみたいという方にはこちらがおすすめです。
コーヒー豆のブルボン種の味わい
ブルボン種の味わいは主に、芳醇な風味や深いコク、苦味や甘みなどのバランスのよさが特徴です。
ただ、ブルボン種とひと口に言っても品種改良や突然変異で生まれた派生品種など、非常に多くの種類があります。
酸味や苦味がしっかりしたものもあり、それぞれの個性を飲み比べて好みの味を見つけてみるのも楽しいかもしれません。
コーヒー豆のブルボン種から派生した品種
純粋なブルボン種は病虫害に弱く各年収穫なので、大量生産には向いていませんでした。
一方で風味が良いため人気が高く、ブルボン種を求める声が多かったのです。
そこで生産性を高めて多くの需要に応えるべく、何度か品種改良を重ねて多くの派生品種が生まれています。
現在では純粋なブルボン種のみのものはほとんどなく、これら改良品種が主に栽培されています。
カトゥアイ種
ブルボン種の突然変異種で、小柄でさび病などに強い丈夫なカトゥーラと、大柄で味わいが良いムンドノーボ種をかけ合わせた品種です。
1940年代に誕生し、中南米では主流品種として栽培されています。
コクと酸味、苦味がそれぞれしっかりしていてバランスが良い味わいが特徴です。
パカマラ種
1950年代にエルサルバドルで研究を重ね、生まれた品種です。
ブルボン種の突然変異種で早熟なパーカスと、大粒なマラゴジッペという品種をかけ合わせたので、それぞれの名前を取って名付けました。
酸味や甘み、まろやかなコクと苦味のバランスが良く、軽く飲みやすいので、初心者にもおすすめです。
ムンドノーボ種
カトゥアイの交配品種で、ムンドノーボ種自体はブルボン種とティピカ種の突然変異であるスマトラが自然に交配して生まれたものです。
病害に強くて味わいは良いですが、背が高く育成や収穫の際などに手間がかかるため、中米ではあまり栽培されていません。
ナッツのような芳ばしい香りで、酸味や甘みがあり、苦味やコクなどすべての要素のバランスが良いです。
コーヒー豆のブルボン種から突然変異した品種
ブルボン種の派生品種は、人工的な手を加えて品種改良したものだけではありません。
もともとのブルボン種がティピカ種から突然変異したように、自然環境などが要因となり偶然生まれたものもあります。
同じブルボン種から自然に派生したといっても、特徴も様々です。
そんな突然変異した品種にはどのようなものがあるのか、みていきましょう。
カトゥーラ種
1900年代にブラジルで発見された品種ですが、ブラジルの環境と相性が良くないため、現在は主にコスタリカなどで栽培されています。
直射日光や病虫害に強く、小柄で枝間を詰めて栽培できるため、安定した量を生産できます。
フルーティーで豊かな酸味としっかりとした苦味、渋みが特徴で、味わいは純粋なブルボン種よりやや劣るため、カトゥアイなどの品種改良に使われました。
パーカス種
1950年代にエルサルバドルで発見され、背が低く、葉は大きく小粒な豆が特徴の品種です。
干ばつに強く低地でも育てることができ、主にエルサルバドルやホンジュラスで栽培されています。
実は成熟が早く、生産性が高いため安定した量を収穫できます。
ローストナッツのような芳ばしい風味が広がり、穏やかな酸味が特徴です。
ブルボン種の有名コーヒー銘柄
様々なブルボン種をみてきましたが、代表的な銘柄は何かというと、一番にブルボン サントスが挙げられます。
まろやかで飲みやすいこともあって、抜群の知名度を誇ります。
また、ブルボン種の原種であるポワントゥは栽培されなくなり、長らく幻とされていました。
近年、UCCが復活へ向けて活動したことにより、見事復活。現在は再び栽培されています。
もっとも有名なブルボン サントス
ブルボン種で最も代表的なものといえば、ブルボン サントスでしょう。
コーヒー生産大国のブラジルにあるサントス港は、世界最大のコーヒーの輸出港として知られています。
ここから輸出されるコーヒーにはブラジル サントスという名前が付けられますが、その中でもブルボン種を品種指定したものをブルボン サントスと呼んでいます。
味わいはマイルドで誰でも飲みやすくなっており、ブラジル種ナンバー1なのもうなずけますね。
幻と言われているポワントゥ
出典:https://ja.wikipedia.org/
ポワントゥとは、レユニオン島で最初に登場した原種に限りなく近いブルボン種を指します。
18世紀頃広まり、フランス・ルイ王朝にも愛されましたが、長らく幻とされてきました。
なぜ幻かというと、19世紀初頭にはレユニオン島での栽培が衰退し、一度は姿を消した銘柄だからです。
1999年に、UCCがフランス政府や現地の協力のもとレユニオン島で復活させる活動をはじめ、7年かけて見事復活させました。
現在はわずかですが、再び現地で栽培されています。
ブルボン種のおすすめコーヒー豆
カルディ ツッカーノブルボン
凝縮された甘みを感じるやさしい味
世界中の豆を販売するカルディのブラジル産ブルボン種。
完熟したコーヒーチェリーのみを摘んでいるため、上質な甘みが凝縮されています。
酸味や苦味は控えめでまろやかなコクが飲みやすく、コーヒー初心者にもおすすめですよ。
ブルボン種ならではの上品な香りとほっとするようなやさしい味わいは、くつろぎの時間に飲むのにぴったりです。
レビュー
- 酸味
- 苦味
- 甘み
- 香り
- コク
- コスパ
▼商品情報
内容量 |
200g |
産地 |
ブラジル |
焙煎 |
中煎り |
品種 |
ブルボン種 |
銀河コーヒー ケニアレッドマウンテン
ケニアの火山が育てた力強いコーヒー
ケニアの最高峰、標高5,199mのケニア山。火山灰を多く含む肥沃な赤土が育てた豆は力強さが特徴です。
最高等級を受ける規格外のコーヒーチェリーを使用しているので、芳醇な甘みとフルーティーで爽やかな味わいを感じます。
苦味は控えめで程よい酸味と深いコク。華やかな香りで女性人気も高いとか。
大地の恵みをたっぷり含んだ豆を挽いてすぐパッキングしているので、新鮮なまま自宅で味わえます。
レビュー
- 酸味
- 苦味
- 甘み
- 香り
- コク
- コスパ
▼商品情報
内容量 |
350g |
産地 |
ケニア |
焙煎 |
中深煎り |
品種 |
ブルボン種 |
honu加藤珈琲店 ルワンダカップオブエクセレンス
一握りの豆だけが得られる名品の称号
専門店の加藤珈琲店が、世界のコーヒー会社とオークションで競合の末落札した名品の豆。
カップオブエクセレンスとは、国際審査員による厳しい審査にかけられ、一握りしか得られない名誉ある豆の称号です。
そのため、味や香りは世界最高峰のクオリティを誇ります。
ルワンダ産のこの豆は、チェリーのような甘いアロマとクリーンで上品な酸味が特徴です。
レビュー
- 酸味
- 苦味
- 甘み
- 香り
- コク
- コスパ
▼商品情報
内容量 |
100g |
産地 |
ルワンダ |
焙煎 |
中煎り |
品種 |
ブルボン種 |
ブルボン種コーヒーのおすすめの飲み方と淹れ方
ブルボン種の豆について学びましたが、どのような淹れ方で飲むと美味しく飲めるのでしょうか。
コーヒーの輪郭が際立つ最もポピュラーな方法・ペーパードリップ式と、器具があれば手軽に芳醇な風味を楽しめるフレンチプレス。
高品質なブルボン種の豆の良さを十分に引き出す、2つのおすすめの方法をご紹介します。
まずはペーパードリップで楽しむ
ブルボン種の豆の良さを引き出すには、まずは丁寧にペーパードリップ式で淹れるのがおすすめです。
他の抽出方法よりも輪郭が出やすいので、豆が本来持つ苦味やコクなどをうまく再現してくれるため、美味しく淹れられます。
淹れていくうちにブルボン種の特徴である上質な香りが立ち上がるので、贅沢な気分になれますよ。
フレンチプレスで飲むのもおすすめ
専用の器具があれば、フレンチプレス式で淹れるのもおすすめです。
芳醇な風味を味わえるため、特に高品質なブルボン種を淹れるときには最適です。
特徴である深いコクや甘みなどもうまく再現してくれます。
さらにフレンチプレスなら、粉とお湯を淹れるだけであっという間に抽出できるので、ドリップ式よりも手軽に楽しめますよ。
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この記事を書いた人
編集部ライター
喫茶店で飲む本格的なものはもちろん、自分で入れるインスタントやドリップ、自販機やコンビニのコーヒー、銭湯のコーヒー牛乳も大好き。
コーヒー味のお菓子も含め、あのほろ苦い味と独特な香り、風味すべてが愛おしいです。
推しコーヒーはハワイのコナ。