コーヒーコラム

コーヒー豆のロブスタ種(カネフォラ種)とは?特徴や飲み方について徹底解説します。

2022年4月21日

コーヒー豆のロブスタ種(カネフォラ種)とは?特徴や飲み方について徹底解説します。

200種類を超える品種があり世界中で親しまれているコーヒー。その市場シェアは、大部分がアラビカ種とロブスタ種(カネフォラ種)です。

ロブスタ種はコーヒーの原種のひとつとされ、さまざまな銘柄のルーツと言える存在です。

年々生産量が拡大しつつあるものの、普段からコーヒーを飲まれている方でも、ロブスタ種をストレートで楽しむ機会は少ないかもしれませんね。

そこで今回はロブスタ種に焦点をあてて特徴やアラビカ種との違い、テイストなどについて詳しくご紹介いたします。

よりロブスタ種を身近に感じながら、コーヒーを楽しんでみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

メグアオ

メグアオ

フリーライター

かつてウィーンで本場のカフェ文化に触れ、その後北部タイで薫り高いコーヒーを味わって以来、コーヒーに心魅かれる。その想いが募り、美味しいコーヒーを追求して2年間の東南アジア・東アジア放浪の旅へ。

 

コーヒー原種のひとつであるロブスタ種

ロブスタ種

アラビカ種とロブスタ種で世界シェアの99%を占めると言われていますが、実のところ、厳密に言えばロブスタ種は3大原種という括りではありません。

植物学的には3大原種のカネフォラ種に属する品種のひとつです。

多くの場面でロブスタ種=カネフォラ種と説明されているため、コーヒー市場ではアラビカ種の同列として位置づけられています。

「ロブスタ」という言葉の起源はラテン語のrobusta(ロブスタ)やrobustus(ロブストス)にあり、強靭(きょうじん)・力強いといった意味を持っています。

ではいったい、ロブスタ種にはどんな強さや特徴が備わっているのでしょうか。順を追ってわかりやすく解説します!

原産地はアフリカのコンゴ

コンゴ

ロブスタ種の原産地はアラビカ種と同じアフリカ大陸です。

中部アフリカの赤道直下に位置するコンゴが発祥の地と言われています。

現在では隣国のウガンダやガーナなどのアフリカ近隣諸国の各地、東南アジアのベトナムやインドネシアを初め、世界中の地域で広く栽培されています。

なかでもコーヒー生産主要国であるインドネシアとベトナムは顕著で、国内で生産されるコーヒー豆のうちロブスタ種の割合が非常に高い国です。

インドネシアでは90%、ベトナムでは95%を占め、ロブスタ種のコーヒー栽培は国の一大産業となっています。

全世界コーヒー総生産の約30%~40%がロブスタ種

アラビカ種とロブスタ種

アラビカ種とロブスタ種(カネフォラ種)にリベリカ種を加えた3つの品種は、3大原種と呼ばれています。

全世界で生産されているコーヒーの割合は、約70%がアラビカ種、約30%がロブスタ種です。

リベリカ種のシェアはわずか1%しかなく、とても希少性が高いため、ほとんど流通していません。

ロブスタ種はしっかりとした苦みが際立つことから、おもにインスタントコーヒーや缶コーヒーの原材料として使用されています。

コーヒーに氷をたっぷりと入れて薄まったとしても、ロブスタ種ならではの香ばしさや苦みが損なわれることがないため、アイスコーヒーにも適しています。

このように汎用性の高さから、生産量が年々増えつつあるのです。

多彩な特徴を持つロブスタ種

栽培環境

コーヒーの3大原種はそれぞれがユニークでまったく異なる個性を持っています。

特にアラビカ種とロブスタ種はあたかも相反するかのような特性が特徴的。

アラビカ種はとてもデリケートな品種、それと比べてみると、ロブスタ種はさまざまな面で強靭な適応能力を持っていることが分かります。

まさにその名前の由来を実感するかのようです。

そこでここからは、栽培環境や品種の特性など3つのテーマにフォーカスして、アラビカ種と比べながらロブスタ種の強さを解説いたします。

低地や高温多湿でも栽培可能なロブスタ種

栽培

世界のコーヒー生産国がコーヒーベルトに集中していることから分かるように、コーヒーを栽培するうえで一定の栽培条件が必要となります。

アラビカ種の条件は標高900 m~2,000m、昼夜の寒暖差が15~25℃かつ、1500~2500㎜の降雨量が必要。

また、たっぷりの水分量と、十分な日照量をコーヒーノキに与えてあげなければなりません。

対してロブスタ種は、標高0 m~900mの低地でも栽培可能で、降雨量2,000~3,000㎜と気温20~30℃の高温多湿にも適応します。

アラビカ種に比べて、ロブスタ種は厳しい栽培環境を整える必要がないため、アジアなどのアラビカ種が育てにくい地域に広まった経緯があるのです。

病害虫に強いロブスタ種

コーヒーの葉から蝕んでいくさび病

コーヒーの葉から蝕んでいくさび病は、コーヒーノキにとって天敵とも言える存在です。

アラビカ種はこのさび病にかかりやすい特徴があるため、細心の注意を払って育てなければなりません。

デリケートなアラビカ種に比べると、ロブスタ種はさび病をはじめとする病気や害虫への耐性があり、栽培しやすい品種と言えます。

過去の歴史では1800年代にさび病が大流行した際、アラビカ種の栽培農園の多くが壊滅的な大打撃を受けた経緯があります。

これをきっかけに、病害虫に強いロブスタ種が注目されるようになりした。

アラビカ種からロブスタ種への生産へシフトする農家が増え、さらにはロブスタ種が主要栽培品種になった地域や国も出てきたのです。

アラビカ種よりも大量に収穫ができるロブスタ種

ロブスタ種

このようにロブスタ種は、栽培するうえで環境条件がそれほど厳しくなく、比較的容易に栽培できることで広範囲なエリアで育てることができます。

しかしそれだけでなく、ロブスタ種は大量に収穫ができるという強みもあるのです。

本来、1本のコーヒーノキに実をつける数は品種によって違いがあります。

ロブスタ種はアラビカ種よりも多く実をつけることできるため、それに比例して収穫できる量が多いのです。

この点はコーヒー生産においてアドバンテージがとても高く、さらに栽培の手間がかからないことから、コスト面でもアラビカ種より優れているのです。

[関連]アラビカ種のコーヒー豆の特徴と品種について解説します。

ロブスタ種とアラビカ種の成分の違い

ロブスタ種とアラビカ種の成分の違い

一見同じように見えるコーヒー豆でも、実は種類によって豆に含まれる成分が一致するわけではありません。

アラビカ種とロブスタ種では成分の違いが顕著に見られ、これが異なった特徴を生んでいるのです。

コーヒー生豆が含むおもな成分を項目ごとに分けて、数値で表してみました。

これらの各項目に沿って、それぞれの特徴を見てみましょう。

▼品種ごとに含んでいる成分表

コーヒー品種

アラビカ種

ロブスタ種

含油率

15%~17%

10%~12%

カフェイン含有量

0.8%~1.5%

1.7%~3.5%

糖度

6%~9%

3%~7%

染色体数

44

22

含油率で変わる特徴

コーヒー

コーヒーを飲む時、コーヒー液の表面がキラキラと光っていることがありますよね。

これはコーヒー豆に含まれる油脂でコーヒーオイルとも呼ばれています。

深煎りになるほど豆の表面が油分で艶やかになります。

これは深く煎ることで豆の水分が蒸発し見た目にも分かりやすくなるためです。

含油率とは豆に含まれる油分の割合のことで、数値が上がるほどコクの成分が高まります。

含油率の高いアラビカ種は、リッチなコクで滑らかな口当たりと豊かな香りが特徴的。

一方、低い含油率を持つロブスタ種は、コーヒーを淹れる際にふわっとしたボリュームのあるクレマができます。

イタリアではエスプレッソ用のブレンド豆としても使われていますよ。

比例するカフェイン量と病害虫耐性の高さ

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アラビカ種とロブスタ種を比べると、カフェイン含有量に大きな差があります。

ざっと見てもロブスタ種の含有量はアラビカ種の2倍以上。

カフェインは病害虫への耐性と大きく関りがあり、カフェインの量と病害虫に対する強さが比例すると言われています。

そのため、アラビカ種が病害虫に弱い理由のひとつとして、カフェインの含有量が低いことが挙げられています。

そもそもカフェインは、アルカロイドという苦み成分で、これが害虫などを撃退する効果があることから、ロブスタ種の耐性の高さにつながっています。

このようにカフェインの含有量は、コーヒー栽培において大きな影響を及ぼしているのです。

低糖度のため強い苦味が出るロブスタ種

コーヒー豆

コーヒー豆には少糖類や多糖類といった糖類が含まれています。

コーヒーの甘みを感じるのがショ糖(砂糖)やオリゴ糖で知られる小糖類です。

生豆の状態が最も多く含んでおり、焙煎することで徐々に含有量が減っていきます。

例えば生豆で7%だったものがミディアムローストで0.3%、イタリアンローストで0.05%といった感じで減少します。

焙煎する際豆の色艶や香りが変わりますよね。これは糖が熱反応することによって起こる現象で、その過程で糖度が変化しコーヒーの美味しさに繋がります。

糖度の数値を見てみるとロブスタ種はアラビカ種より低くなっていますが、これはロブスタ種の苦味が強く感じられる理由のひとつでもあるのです。

多彩な味わいを生み出す染色体数

人工交配

さらに踏み込んで遺伝子構造の方面から違いを見てみます。

すると、アラビカ種の染色体数が44、ロブスタ種が22 となり、アラビカ種の方がロブスタ種より複雑です。

この2倍もの差が、味わいに大きな影響を生んでいることが浮かび上がってきます。

アラビカ種は優れた風味を持つ反面、生産性の低さが難点となります。

ロブスタ種は病害虫や高温多湿などへの耐性が優れているものの、風味はアラビカ種に及びません。

また最近ではブラジルやコロンビアなど、研究機関で新品種の開発が進められています。

これらの相反する品種の良いところを取り入れるため、染色体を薬品で調整し、優質な風味と生産性の高いハイブリッド種を生んでいます。

ロブスタ種のテイスト

苦味が強く、麦茶のような香ばしさがある

コーヒー

「ロブ臭」という言葉をご存知でしょうか?

これはロブスタ種特有の香りを表現したものですが、一般的に「麦を焦がしたような香り」「土臭いにおい」といった、クセのある独特の香りを総称しています。

感じ方には個人差がありますので、同じ麦茶のような香りでも、人によっては焦げたものではなく芳ばしさを感じることもあります。

ロブスタ種のテイストは強い苦みや渋みが感じられ、酸味は弱めなのが特徴的です。

また香りやコクに大きく影響する少糖類の含有量がアラビカ種よりも少ないです。

このことから奥行きのない平坦な風味とも言われ、アラビカ種に比べると物足りなさを感じる原因にもなっています。

ストレートで飲むのは向かない

ブラックコーヒー

ロブスタ種は単一品種としてストレートで飲むには向かないと言われています。

これにはロブスタ種特有の泥臭さが関係しています。

特に注意しなければならないのが焙煎時。

深めの焙煎にすると芳ばしさが出る反面、刺激的な苦みがより際立ってしまいます。

ロブスタ種は少量でも苦味や香りといった存在感を出すことから、ロブスタ種を2~3割ほど調合したブレンドで、欠点を目立たなくして販売するお店が多く見られます。

逆にアラビカ種に苦味を加えたい場合、とても効果的なブレンド方法とも言えます。

また生産性の高さや安価であることも加わり、大量生産できるインスタントコーヒーや缶コーヒーの原材料として積極的に使われています。

たっぷりの練乳と一緒に飲むベトナムでは主流

練乳

ロブスタ種はアラビカ種に風味で劣るものの、その特徴を生かした飲み方をすればとても美味しく味わえます。

実際に国内で生産されるコーヒー豆のうちロブスタ種が約9割以上も占めるベトナムでは、圧倒的なロブスタ種の消費を誇っています。

最も特徴的なのが、ベトナムコーヒーと言われる昔ながらの飲み方。

粗挽きにしたコーヒー粉を、ベトナム式のコーヒーフィルターに入れて抽出します。

そしてたっぷりの練乳を入れて、あたかもスイーツのような感覚で飲むという方法。

ベトナムではこの練乳入りのコーヒーに氷を入れ、氷が融けきるまで時間をかけながらゆっくりゆっくり飲むのがスタンダードです。

ロブスタ種を美味しく飲むためのアレンジレシピも人気

焙煎

ベトナムでは、ベトナムコーヒーのように伝統的な飲み方が主流です。

その他にも焙煎の際に調味料やスパイスなどを加え、フレーバーやコクをプラスしたコーヒー豆として販売されています。

その種類は豊富で、バターを混ぜて焙煎した深煎りのコーヒー豆やバニラ、チョコレート、砂糖、さらには調味料の魚醤を加えることも。

こうすることで、ロブスタ種が持つ独特の風味が消されるだけでなく、バラエティに富んだ飲み方を楽しむことができるようになります。

ベトナムではこのようなアレンジレシピが人気ですが、一部の国でもベトナム式の飲み方やフレーバーテイストのベトナム産コーヒー豆の輸入が広まっています。

[関連]ベトナムコーヒーの特徴や美味しい淹れ方、カフェ・フィンの使用方法も解説!

まとめ

アフリカの地で生まれたロブスタ種。

その後、栽培環境に適した地域に広まりさび病の発生も相まって、世界中のさまざまな地域で生産されています。

風味はアラビカ種に及ばないことから、単一品種として飲む機会がなく身近に感じにくいかもしれません。

しかし実はインスタントコーヒーや、缶コーヒーとして世界中に人々に親しまれているのです。

ロブスタ種の生産大国であるベトナムのように、自国で生産される豆をアレンジしながら、ストレートで飲むスタイルは、今後広く展開されていくかもしれませんね。

より身近になったロブスタ種を、自分オリジナルのレシピで楽しんでみるのも楽しいですよ!

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かつてウィーンで本場のカフェ文化に触れ、その後北部タイで薫り高いコーヒーを味わって以来、コーヒーに心魅かれる。その想いが募り、美味しいコーヒーを追求して2年間の東南アジア・東アジア放浪の旅へ。各国カフェタイムの過ごし方はさまざま。カフェ空間が人々にもたらす癒しや活力、その奥深さに魅力を感じながら、コーヒーへの探求心はなおも続く。

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