ゆっくりひと息つきたい時や眠気覚まし、頭をスッキリさせたい時などに飲みたくなってしまうコーヒー。
そんなイメージのあるコーヒーには、これらの期待に応えてくれるカフェインが含まれています。
カフェインの作用を効果的に発揮するための適正量や1杯あたりのカフェイン量、カフェインのメリットとデメリットを分かりやすく解説していきます。
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フリーライター
かつてウィーンで本場のカフェ文化に触れ、その後北部タイで薫り高いコーヒーを味わって以来、コーヒーに心魅かれる。その想いが募り、美味しいコーヒーを追求して2年間の東南アジア・東アジア放浪の旅へ。
そもそもカフェインとは?
実は無水カフェイン、カフェインレス、ディカフェなどカフェインにまつわる言葉がたくさんあるのをご存じでしょうか?
カフェインという名前は知っていても、それを具体的に説明できるかと言われると、首をかしげてしまう方もいるかもしれませんね。
まずは、カフェインに関する基本知識をインプットしてみましょう。
カフェインとはアルカロイドという化合物の仲間
カフェインが含まれるものとして有名なのがコーヒー豆。
目を覚ましてしまうほどの苦み、などと表現されることもありますがそれもそのはず、カフェインはコーヒーの中にある苦み成分なのです。
その他にも紅茶や煎茶などの茶葉、チョコレートやココアの原料であるカカオにもカフェインは含まれています。
カフェインは、アルカロイドという体に作用を及ぼす化合物の仲間で、体の不調を助ける効果があります。
例えば覚醒作用、また解熱鎮痛作用では眠気や倦怠感を取り除いたり、頭痛を和らげる際にアプローチします。
この効果は医薬品としても使われており、薬成分の無水カフェインがそれに当たります。
コーヒー1杯に含まれるカフェイン量
リフレッシュしたい時や痛みを和らげたい時に効果をもたらすカフェイン。
実際にコーヒーを1杯飲んだら、どの程度のカフェイン量が含まれているのでしょうか。
コーヒー100mlあたりのカフェイン含有量は約60mg
コーヒー100mlあたりのカフェイン含有量は、一般的な目安として約60mgと言われていますが、コーヒー豆の種別によっても多少異なってきます。
例えばアラビカ種とロブスタ種では、ロブスタ種の方が多くその違いは約2倍。
苦み成分であるアルカロイドが害虫撃退にも効果を及ぼすことから、ロブスタ種が害虫に強いと言われている理由の1つになっているのですね。
またアラビカ種の2大品種の1つであるブルボン種では、カフェインの含有量が他品種の半分程度とされています。
2008年にはシャリエコーヒーノキと呼ばれる野生種が発見され、カフェインが含まれていない非常に珍しいコーヒー豆として存在しています。
レギュラーカップ1杯分のカフェイン量は72mg
コーヒーカップごとに目安の量を知っておくと、実際に飲んだコーヒー1杯分のカフェイン含有量が分かりやすくなります。
コーヒーカップにはレギュラーカップやマグカップ、デミタスカップなどがありますが、レギュラーカップ1杯分のコーヒーの量は120ml程度のものが多い傾向です。
100mlあたりのカフェイン量が約60mgですので、レギュラーカップで1杯コーヒーを飲んだ時のカフェイン量は72mgになります。
またマグカップやデミタスカップではコーヒーを淹れる際の容量やコーヒー豆の量が異なりますので、カフェインの量もそれに比例すると考えれば良いでしょう。
コーヒーとその他のカフェイン量を比較
コーヒー1杯分に含まれるカフェインの含有量を知ったところで、果たしてそれが多いのか適量なのかが気になるところですよね。
それでは、他ドリンクと比較しながら確認してみましょう。
コーヒー、紅茶、お茶、エナジードリンクの比較まとめ
飲み物 |
カフェイン量 |
詳細 |
レギュラーコーヒー浸出液 | 約60mg | 熱湯150mlをコーヒー豆の粉末10gで浸出 |
インスタントコーヒー | 約60mg | 熱湯140mlにインスタントコーヒー粉末2gを溶かす |
紅茶 | 約30mg | 熱湯360mlを茶葉5gに加え90秒~240秒で浸出 |
コーラ飲料 | 約10~13mg | 栗原久:カフェインの科学.学会出版センターより |
煎茶 | 約20mg | 90度の湯430mlを茶10gに加え60秒で浸出 |
ウーロン茶 | 約20mg | 90℃の湯650mlを茶葉15gに加え30秒で浸出 |
玉露(緑茶) | 約160mg | 60℃の湯60mlを茶葉10gに加え150秒で浸出 |
エナジードリンク | 約32~300mg | 商品によって異なる |
紅茶はコーヒーの半分、煎茶やウーロン茶は3分の1のカフェイン量であることが分かります。
コーラ飲料は数値的には少なめですが、500mlペットボトルで飲んだ場合、約50~65mgのカフェインを摂取することになります。
数字ではエナジードリンクや玉露(緑茶)が特に高い印象を受けますが、1杯あたりの飲む量や飲む頻度によって実際の摂取量は変わってきます。
例えばコーヒーではレギュラーカップ1杯の量が120ml程度でカフェイン量は72mgとなり、1杯単位で見るとこの表の数値より多く摂取することになります。
またエナジードリンクはコーヒーと比べて手軽に飲めるとは限らないため、これらを考慮してみると、飲み物の中でカフェインを摂りやすいのはコーヒーだということが分かります。
[関連]エナジードリンクとコーヒーのカフェイン量の違いを解説!
カフェインが含まれる食べ物
このように身近な飲料の中だけでも、いくつもカフェインが含まれていることが分かりましたが、では食べ物はどうでしょうか?
カフェインはチョコレートにも含まれている
実は飲み物だけではなく、食べ物にもカフェインが含まれています。
食べ物の中で含有量が多いのはカカオ豆。そのカカオ豆が原料となるチョコレートには、特にカフェインが多く入っているのが特徴です。
チョコレートの種類 | グラム | カフェイン含有量 |
カカオマスの多いミルクチョコレート | 25g | 7mg |
ハイカカオチョコレート |
25g | 21mg |
ココアパウダー |
5g | 7mg |
カカオマスとはカカオ豆を精製しペースト状にしたものをいい、チョコレートではこのカカオマスの割合によってカフェインの含有量が変わってきます。
ハイカカオチョコレートはカカオマスの割合が多いので、3倍のカフェイン量が含まれています。
市販されているチョコレートは、一般的に一枚50g前後です。
これをカフェタイムにコーヒーのお供として食べると、カフェインの摂取量が一気に多くなってしまうので、食べすぎないように注意した方が良いですね。
カフェインの1日の摂取量目安
食べ合わせや飲み合わせによって、カフェインの摂取量に気を付けなければならないケースがあります。
では1日にどのくらいの量を目安とすれば良いのでしょうか?
日本独自のカフェイン摂取量の目安はない
1日のカフェイン摂取量が目安として分かれば自分自身で調整できるので安心です。
日本では摂取量について明確に定めているルールはありません。
しかし日本の食品安全委員会がリスク評価という基準で海外の状況を発表しており、下記の一覧で確認することができます。
食品安全委員会による最大摂取量の目安
出典:食品安全委員会
これはWHO(世界保健機関)のほか、欧州食品安全機関やカナダ保健省の国際機関が定めたデータとなり、身体に悪影響のない最大摂取量を設定しています。
この一覧では、それぞれの年齢や状況によってカフェイン摂取量の目安は変ってくることが示されています。
妊婦の場合、健康な成人と比較すると1日100mg~200mgほど少なくなります。さらに子供の場合には、年齢によって1日45mg~85mg程度の摂取までが限界です。
カフェインを摂取する際には、コーヒーなどの飲み物とチョコレートなどの食べ物をトータルで考え、自分自身に合った摂取量を把握しておくように心がけましょう。
健康な成人ならカフェインの摂取量は1日3~5杯
欧州連合(EU)の欧州食品安全機関(EFSA)では摂取量を詳細に制限しており、1日400mg未満で1回につき200mgを超えないようにするべきだと提言しています。
またコーヒーカップによってコーヒー1杯の量は変わってきます。
例えばレギュラーカップ1杯が120mlだとすると、カフェインの摂取量は1日3杯程度。
デミタスカップなどの小さめのカップ(60~80ml程)であれば、5杯程度が適量だと考えられます。
つまりカフェインの摂取量は1日3~5杯が目安ということになりますね。
カフェイン摂取によるメリット
摂取したカフェインは、体内に取り込まれて血流の中に入り込みます。
すると30分程度で脳に到達し、体に良い多様な効果を発揮してくれます。
そのメリットについて簡単に解説します。
覚醒作用
眠気を感じるメカニズムの1つに、アデノシンと呼ばれる睡眠物質があります。
カフェインは、このアデノシンが睡眠を誘発するのをブロックする作用を持ちます。
さらに神経の興奮を高め麻痺させることで、眠気や疲労を感じにくくさせる効果があります。
血管拡張作用
カフェインは脳の中枢神経に働きかけ、血管拡張を促すことで運動機能を活発化させます。
血流が良くなると、疲労感の軽減につながる効果があります。
交感神経刺激(基礎代謝促進)
カフェインが脳の神経細胞に作用すると、交感神経が刺激されます。
この交感神経は自律神経と深いかかわりを持っており、自律神経の中の「興奮刺激」を全身の各器官に伝達する役割をつかさどっています。
この刺激によって代謝などが活発化され、体脂肪の燃焼が促進されます。
集中力の向上
カフェインの摂取で交感神経が優位になると、血管が収縮し始めて血圧や心拍数も上昇してきます。
この作用は脳全体の活性化に働きかけ、計算力や記憶力などが高まります。
これはイギリスの科学誌であるネイチャー・ニューロサイエンス(Nature Neuroscience)上で発表された論文にも研究結果として掲載されています。
むくみ対策(利尿作用)
カフェインには利尿作用があることも知られていますが、このメカニズムは体内の水分量に関係しています。
成人の体内水分量は体重の約60%です。カフェインは尿量を増やし、この体内にある水分の排出を促す働きがあります。
この作用が細胞内にある余計な水分を溜りにくくし、むくみの原因を解消してくれます。
アルツハイマー型認知症や糖尿病の予防
世界各国ではカフェインとアルツハイマー型認知症や糖尿病の関係性についての研究が進められ、カフェインが認知機能の低下を抑制する効果があるという学術論文が発表されています。
カフェイン以外にもコーヒーに含まれるポリフェノールや、焙煎過程で反応するピロカテコールなどの成分が認知低下を抑制するとされています。
コーヒー1杯と赤ワイン1杯のポリフェノール量はほぼ同じ
抗酸化作用が強いことで有名なポリフェノールはコーヒーにも含まれ、その量は赤ワインとほぼ同じです。
このポリフェノールはクロロゲン酸類と呼ばれ、3大疾病として挙げられるガンや脳卒中、動脈硬化や肝硬変の予防に役立つ効果的な作用があるという研究報告も出されています。
カフェイン摂取によるデメリット
カフェインには良い効果がある反面、それが紙一重となってデメリットになるケースもあります。
歯が褐色に着色
コーヒーのポリフェノールであるクロロゲン酸類は、唾液中のカルシウムなどと結合して、唾液中に褐色成分を残します。
唾液は口腔内を潤し続ける役割があることから、唾液の中にある褐色の色素が長い時間をかけて歯茎へ浸透していくことになります。その結果、歯茎と歯が着色されてしまいます。
下痢や吐き気や胃痛の症状が出る
体内環境を整えてくれる自律神経。
しかしカフェインを過剰に摂取すると、体内器官が刺激されてバランスが崩れてしまう性質があります。
特に胃腸の働きが活発になりすぎて下痢を引き起こす可能性も。
またクロロゲン酸は、胃酸の分泌を促進する効果がある反面、体質によっては胃痛や吐き気などが生じる場合もあります。
利尿作用による水分不足に注意
カフェインには体内の毒素を排出してくれる利尿作用があります。
これはメリットである一方、水分を排出しすぎてしまうと、普段の水分補給の状況、夏場などの季節や環境によっては水分不足になる場合があります。
過剰摂取は自律神経の乱れを招く
適度なカフェインの摂取では問題のないことでも、過剰摂取は体のコントロールを乱す恐れがあります。
カフェインは眠気や疲れを感じにくくさせる効果がある反面、良い作用が過剰摂取によって自律神経への悪いアプローチとなってしまうのです。
自律神経のバランスが崩れると身体的な不調につながるので注意が必要です。
まとめ
カフェインはメリットが多く頼もしい存在である反面、過剰摂取すると体調不良につながるものでもあります。
コーヒーやチョコレートなどに含まれるカフェインの特徴や適切な摂取量などを知っておくと安心ですね。
自分の体質や状況に合った適量を意識しながら、カフェインを上手に活用することをおすすめします。
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この記事を書いた人 フリーライター かつてウィーンで本場のカフェ文化に触れ、その後北部タイで薫り高いコーヒーを味わって以来、コーヒーに心魅かれる。その想いが募り、美味しいコーヒーを追求して2年間の東南アジア・東アジア放浪の旅へ。各国カフェタイムの過ごし方はさまざま。カフェ空間が人々にもたらす癒しや活力、その奥深さに魅力を感じながら、コーヒーへの探求心はなおも続く。