コーヒーコラム

沖縄コーヒーの歴史や味について、生産者の方に実際に伺いました

2022年8月3日

沖縄コーヒーの歴史や味について

沖縄でもコーヒーを栽培しているとご存知でしたか?

意外と知られていない、沖縄コーヒーについて、実際に栽培している沖縄コーヒーアイランドさんに寄稿していただきました。

本記事では、意外と知らない沖縄コーヒーについて解説して行きます。

この記事を書いた人

sk

沖縄コーヒーアイランド

職業:沖縄コーヒーファーマー

コーヒー好きが高じて沖縄に移住。栽培歴8年の兼業ファーマー。沖縄でコーヒー栽培に挑戦中!

日本でできる国産コーヒー

コーヒーは暑いところでできるイメージがありますが、正確には暑すぎず寒すぎずの場所でコーヒーは育ちます。

国内では沖縄と小笠原が栽培可能地域になります。

沖縄 コーヒー栽培

※ 北海道の極寒でも上記温度を保ちコーヒー栽培に成功されている方もおられます

▼詳しくはこちら

北海道でコーヒー栽培?できるの?

国産コーヒーの歴史

国産コーヒーの歴史

1875年(明治8年)明治政府は当時、世界的なコーヒー生産地であったジャワ島(オランダ領)からコーヒー苗500本を輸入して小笠原(父島)と沖縄でコーヒー栽培が始まりました。

しかし小笠原でコーヒー生産に成功したものの、経済性でサトウキビに及ばなかったことから国産コーヒー栽培は衰退していきました。

その後、沖縄でコーヒー栽培研究や木村珈琲(現キーコーヒー)の参入があったもののコーヒー生産の広がりはありませんでした。

1970年代、国産のコーヒー生産に挑戦

1970年代、国産のコーヒー生産に挑戦

1970年代から日本人にとって、コーヒーが身近な飲み物として普及していきます。

これを転機に、コーヒー生産に挑戦する人たちが現れました。

しかし今昔変わらず国産コーヒーの安定生産は難しく試行錯誤の栽培が続きます。

1970年~1980年 … 沖縄・小笠原でコーヒー生産に挑戦する方が現れる

1980年~2010年 … 試行錯誤の栽培と安定生産に一進一退

2010年~ 現在   … 栽培者が急増。栽培技術も向上しコーヒー生産量が徐々に増えていく

国産コーヒー栽培はなぜ難しい?

台風被害状況

近年、沖縄・鹿児島・小笠原でコーヒー栽培する人が増えてきました。

しかし撤退する方も多く、国内においてコーヒーの安定生産が難しい理由は「台風」です。

コーヒーの木は風に大変弱く、特に沖縄・小笠原は台風銀座と呼ばれ一年に何度もくる大型台風で木がダメになってしまいます。

台風対策として森林の中で栽培、防風植物の活用、ハウス栽培などがあげられます。

コーヒー農家になってわかったこと

沖縄産コーヒー 嫌気発酵処理

珈琲の美味しさは焙煎や挽き方、淹れ方で引き出しますが、その前段階の栽培から、コーヒー生豆にする過程もとても重要であることがわかりました。

コーヒーの木を育てる土や肥料、コーヒーチェリー収穫後の精製方法、生豆にした後の保存方法でコーヒー豆は良くも悪くもなり品質に大きな影響を与えます。

昨今、嫌気発酵処理という方法で珈琲の風味をコントロールする精製が海外で盛んにおこなわれるようになってきています。

国産コーヒーの味は収穫タイミングなどで味が違う

国産コーヒーの味は収穫タイミングなどで味が違う

現在の沖縄産コーヒーは共通化した商品がなく、各コーヒー農家さん独自の方法で作られています。

そのため沖縄産コーヒーの味はこれです!と一概に言い難いです。

また農家になってわかったことですが、同じ品種のコーヒーを植えても場所により味が変わったり、同じ木でもコーヒーの実の収穫タイミングで味が違ったりもします。

そこで、あくまで一例としての国産コーヒーの味についてご紹介します。

上記の画像は筆者の主観によらない、味覚センサーで分析した沖縄産コーヒーの相対的「ポジショニングマップ」になります。

少し抽象的になりますが、一農家の沖縄産コーヒーの味をイメージ頂けたら幸いです。

コーヒーの木は捨てるところがない!

沖縄産コーヒーは春に花が咲き冬に収穫というサイクルになります。春は散っていく花を集めてコーヒー花茶(フラワーティー)にできます。

コーヒー花茶

▼冬は収穫したコーヒーチェリーの果実部分を使います。
コーヒーチェリー

これでカラカラティー(果実茶)として美味しく頂けます。

▼コーヒーの葉はリーフティー
コーヒーの葉はリーフティー

葉っぱ茶として利用ができます。

このように意外に知られていない活用方法もあり、コーヒーの木は捨てるところがないのです。

沖縄はコーヒーフードペアリングの宝庫

沖縄はコーヒーフードペアリングの宝庫

沖縄はサトウキビ、紅芋の生産量が多いです。サトウキビは黒糖、紅芋は紅芋タルトなど沖縄土産として有名。特に黒糖は珈琲との相性が抜群です。

今回、私のお勧めは紅芋の冷やし焼き芋です。

通常の紅芋は甘味が弱いのですが、Omoimoの紅芋は甘く食感も良くコーヒーにとても合います。冷やして食べるとまさにデザートです!

沖縄コーヒー農家の取組み

コーヒーの安定生産が大きな目標でありますが、同時にまだまだ沖縄産コーヒーの認知が低く、沖縄県内でもコーヒーが作られていることを知らない人のほうが多いです。

そこで少しでも知ってもらおうとコーヒー生産者が協力してイベント参加しています。

▼先月おこなった「沖縄コーヒーこども職業体験」です。

また、沖縄産コーヒー豆の焙煎ができる沖縄コーヒー体験を今秋に再開予定でいます。

沖縄コーヒー体験農園

最後に筆者はまだまだ未熟なコーヒー生産者でありますが、沖縄産珈琲は新鮮な豆が持つ香り高い味わいです。

これからも沖縄産コーヒーの魅力を発信(沖縄コーヒーアイランド)して伝えていきたいと思っています。

この度は掲載頂ける機会を頂きまして関係者の皆様ありがとうございました。

この記事を書いた人

nari

沖縄コーヒーアイランド

職業:沖縄コーヒーファーマー

コーヒー好きが高じて沖縄に移住。栽培歴8年の兼業ファーマー。沖縄でコーヒー栽培に挑戦中!台風で失敗を繰り返しながらもコーヒーが育てられる環境にいられる毎日が「ちむどんどん」です。

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