コーヒーコラム

リベリカ種とは?特徴や主要産地とコーヒー3大原種について

2022年7月20日

リベリカ種とは?特徴や主要産地とコーヒー3大原種について

コーヒーの3大原種をご存知でしょうか。世の中に存在するさまざまなコーヒー銘柄のルーツにあたるものですが、この3大原種の1つにリベリカ種があります。

今まで聞いたことがないという方は少なくないかもしれませんね。

リベリカ種は希少性が高く、めったに出会うことができないコーヒーなのです。だからこそ、その特徴を知れば、より惹きつけられてしまうかもしれません。

そこで今回は、リベリカ種の特徴や産地、栽培環境などを細かく分けて、リベリカ種とは何かについて全般的に解説します。

また、リベリカ種コーヒーの味わいや主要産地などについてもお伝えしますので、ぜひ参考にしてください!

この記事を書いた人

メグアオ

メグアオ

フリーライター

かつてウィーンで本場のカフェ文化に触れ、その後北部タイで薫り高いコーヒーを味わって以来、コーヒーに心魅かれる。その想いが募り、美味しいコーヒーを追求して2年間の東南アジア・東アジア放浪の旅へ。

 

コーヒー豆のリベリカ種とは

3大原種のひとつがリベリカ種

リベリカ種

コーヒー豆には数々の品種が存在します。その中には、自然交配で派生した品種や人工交配・品種改良など人の手が加えられて生まれた新種やハイブリッド種などがあります。

その数はおよそ200通りもあると言われ、これらのルーツをさかのぼると「原種」にたどりつきます。

原種は3種類あり、その中の1つがリベリカ種(Coffea liberica)なのです。

つまりリベリカ種は、おおもととなるコーヒー豆というわけです。とはいえあまり知られていないのも事実。

その理由が気になりますよね。なぜリベリカ種が身近でないのかを探ってみましょう。

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リベリカ種以外の原種はアラビカ種とカネフォラ種

コーヒー豆

3大原種の残りの2つはアラビカ種カネフォラ種(ロブスタ種)です。アラビカ種は、クリア感の優れたテイストと上品な香りが特徴的。

病気や気候などに影響しやすく、厳しい条件下での栽培となるにもかかわらず、高品質で人気が高いため、コーヒー豆全生産量のうち約60%ものシェアを占めています。

もう1つのカネフォラ種は、ロブスタ種として知名度が高い原種でもあります。病気に強く、栽培環境が比較的厳しくないため、コーヒー豆の生産には好適です。

風味はアラビカ種に及びませんが、インスタントコーヒーや缶コーヒー、ブレンドコーヒーなどでシェアを広げています。

リベリカ種の産地と栽培環境

原産地はアフリカのリベリア共和国

リベリア共和国

リベリカ種の原産地はリベリア共和国。アフリカ大陸の西部にあり、他の主要生産国と同様に赤道を挟んだコーヒーベルトに位置します。

リベリカ種のコーヒーノキは1800年代末頃に発見され、1900年代になってから本格的な生産に入りました。

発見はロブスタ種と同時期ですが、その後流通が拡大したロブスタ種に対して、リベリカ種は現在リベリア国内ではほとんど生産していません。

アフリカ大陸においては西アフリカの一部の地域でのみ栽培されているものの、わずかな生産量のうち国内消費とヨーロッパへの輸出に割り当てられている状況です。

現在の主な生産地はフィリピンとマレーシア

フィリピンとマレーシア

原産地やその周辺諸国で生産が減少している中、それでもリベリカ種の栽培は途絶えることなく、現在においても生産され続けています。

その主要産地は東南アジアのフィリピンとマレーシアです。

コーヒーの栽培過程において重大な問題となるのがさび病。かつてフィリピンでは、さび病によってアラビカ種のコーヒーノキが壊滅的な被害を受けました。

それを機に、当時さび病に耐性があるとされたリベリカ種と、カネフォラ種へ生産を転換したのです。

現在カネフォラ種の栽培が主流であるものの、リベリカ種の栽培は続けられています。マレーシアでも、フィリピンに次ぐ生産量を維持しています。

リベリカ種のコーヒーノキは平地でも栽培できる

コーヒー栽培

リベリカ種は、標高200m以下の低地や平地でも生育する性質を持っています。これはアラビカ種やカネフォラ種と比べると、その特質が分かります。

アラビカ種の栽培では、少なくとも標高1,000m以上の条件をクリアしていなければならず、さらには気温や湿度、雨量などの条件が揃っていないと良質なコーヒー豆は育てられません。

カネフォラ種は1,000mに満たない場所でも栽培できますが、リベリカ種の平地栽培ほどの容易さはありません。

[関連]コーヒーの木の育て方と三大原種のアラビカ種、カネフォラ種、リベリカ種

気温や湿度は厳しくないもののさび病には弱い

コーヒーの葉から蝕んでいくさび病

コーヒー豆を栽培する上で、温度・降水量・土壌の質・日当たりはとても重要な項目です。

リベリカ種は平地でも栽培が可能な上、気温や湿度などには高い順応性があります。その反面、さび病に弱いという性質を持っています。

かつてフィリピンでは、さび病によってアラビカ種の栽培からリベリカ種へシフトした経緯があるほど。

しかし実はアラビカ種と比較すると強いというだけで、高い耐性があるわけではないのです。

現在において最もさび病に強いのはカネフォラ種とされ、アラビカ種とカネフォラ種の交配や品種改良が進められています。

[関連]コーヒー豆にはどんな品種があるの?産地や育て方の違いを解説します。

リベリカ種の特徴

収穫の大変さに比べて風味は劣る

コーヒー豆 生豆

リベリカ種はコーヒー豆の大きさにバラツキがあり、そのまま焙煎すると味が均一にならず安定性のない風味になります。

さらに、さび病への耐性がないことや、コーヒーノキの樹高が10mにもなり収穫しにくく、1本の木から収穫できる豆の数が少ないです。

また他の原種と比べて、収穫できるまでの期間が長いといった数々の問題があります。

このような条件の中、ようやく収穫までたどり着いたとしても残念ながら、リベリカ種は風味が優れているとは言えないのです。

風味の良し悪しはコーヒーの人気を左右する大きな要素です。リベリカ種が身近でない理由がここにあると言えそうですね。

流通量が少なく世界的に見ても1%ほど

コーヒー豆

リベリカ種は平地でも栽培できる特徴があります。それならどんな場所でも栽培できるのでは、と思うかもしれません。

しかし先に述べた諸問題が要因となって、リベリカ種が大きく発展することはありません。

あえて手間暇をかけてリベリカ種の栽培に臨もうという生産者は増えず、世界中に普及しにくい状況となっています。

このようなことから、リベリカ種はコーヒー豆全生産量のうちわずか1%しかなく、流通量が非常に少ないのです。

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リベリカ種の味わいは酸味が控えめで苦味が強い

コーヒー コーヒーカップ

リベリカ種は味に偏りのある特徴を持っています。

香り・酸味・甘み・コクのすべてが極めて少なく、その反面、強い苦味が際立ちます。

焙煎度合いや抽出方法によって多少の違いはありますが、抽出したコーヒー液の見た目は、一般的なものよりも透明度が高く色合いはうっすらとしています。

そしてほんのり伝わる個性的な香り、と強い苦みの後にあっさりとした味が残ります。

[関連]コーヒーの苦味の原因や調整方法、おすすめの豆をご紹介します。

フィリピン産リベリカ種のバラココーヒー

フィリピン

フィリピンではリベリカ種を生産しているものの、海外への輸出はほとんどありません。

いわゆる地産地消で、フィリピン国内での販売やコーヒー農園自らの家庭用として栽培している状況です。

またフィリピンのリベリカ種はバラココーヒーと呼ばれます。

バラココーヒーは主に国内ルソン島のバタンガス州で栽培され、この地方で栽培されたものだけがバラココーヒーの名称を付けることができます。

バラココーヒーの味わい

リベリカ種の風味は強い苦味が特徴ですが、バラココーヒーも同様に酸味や甘みが控えめで、苦味の強さが際立ちます。

しかしこれに加えてコクと香りも強く、一般的なリベリカ種よりもインパクトのある風味を持っています。

バラココーヒーは、それほど多くありませんが、インターネットで取り扱うショップがあるようですので、バラココーヒーを入手することができたら、ぜひ本場の飲み方にチャレンジしてみましょう。

淹れたてのコーヒーに、ブラウンシュガーやはちみつをたっぷりと入れます。ブラウンシュガーの甘みや濃厚さ、はちみつのほんのりとした酸味と甘みが加わり、さらにコクが増しますよ。

マレーシア産リベリカ種のエレファントコーヒー

マレーシア

マレーシアで栽培するコーヒー豆はアラビカ種とリベリカ種。リベリカ種はインドネシアから持ち込まれたと言われています。

その後、他国ではロブスタ種への移行が進む中、コーヒー産業が大きく発展しなかったマレーシアでは、リベリカ種がそのまま残りました。

現在においてもこの希少なリベリカ種は国内シェアを占めています。

銘柄はエレファントコーヒーという名称で、豆が驚くほど大粒でインパクトがあることから名づけられたとされています。

フィリピンと同様に地産地消ですが、マレーシアの場合、わずかながら日本国内の店舗で販売されているようです。

もちろん、コーヒー専門店のオンラインショップでも購入することができますよ。

エレファントコーヒーの味わい

エレファントコーヒーの味はとてもユニーク。野性味のある風味や香辛料のような香味、カカオのような甘みとコク、漢方茶のような苦味といった多様性のある風味を持ちます。その時々や人によって感じ方が変化するので面白いですね。

またエレファントコーヒーは、マレーシアの有名なブランドであるホワイトコーヒーと同様に、コーヒー豆を2回に分けて焙煎するのがスタンダードです。

焙煎の仕方は、通常焙煎をした豆に砂糖とマーガリン(またはパームオイル)を混ぜて、もう1度焙煎します。

これにより香ばしさや甘さ、コクが増します。

マレーシアでは、コンデンスミルクや砂糖をたっぷりと入れて、まったりとしたコーヒーを飲むのが好まれています。

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リベリカ種に出会える機会はほぼない

コーヒー豆

アラビカ種とカネフォラ種はとても有名です。世界中に広く流通しているため、この2つの原種の存在感は大きなものです。

またリベリカ種はコーヒー豆全体の生産量のうち、わずか1%しかありません。

流通量も当然少なく、実際に手に取ってみることができるのはなかなか難しいですね。

しかしそうなると、ぜひ「実物を見たい!」「実際に飲んでみたい!」という気持ちが高まりますよね。

もしリベリカ種に出会えたらチャンスです!滅多に味わうことができない希少なコーヒーを、ぜひ堪能してみてください。

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メグアオ

メグアオ

フリーライター

かつてウィーンで本場のカフェ文化に触れ、その後北部タイで薫り高いコーヒーを味わって以来、コーヒーに心魅かれる。その想いが募り、美味しいコーヒーを追求して2年間の東南アジア・東アジア放浪の旅へ。各国カフェタイムの過ごし方はさまざま。カフェ空間が人々にもたらす癒しや活力、その奥深さに魅力を感じながら、コーヒーへの探求心はなおも続く。

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