コーヒーの特徴と淹れ方

マンデリンコーヒーの特徴や味わいと等級や歴史、美味しい淹れ方・飲み方を解説!

2022年8月29日

マンデリンコーヒーの特徴や味わいと等級や歴史、美味しい淹れ方・飲み方を解説!

皆さんは苦味の強いコーヒーと酸味の強いコーヒーどちらが好みでしょうか?

もし苦味の強いコーヒーが好きなら、マンデリンコーヒーもきっと好きなはず。

今回はマンデリンコーヒーの特徴や歴史、美味しく味わえるおすすめの淹れ方などを解説します。

ドラマティックな歴史もありますので、マンデリン好きな方はぜひ最後までお付き合いください!

この記事を書いた人

小野 青

小野 青

バリスタ/コーヒーマイスター/フリーライター

学生時代コーヒーの魅力に魅せられ、短期大学卒業後はフリーターでバリスタをしながらコーヒーを勉強しています。コーヒーマイスターの資格を取得し、現在はコーヒーの知識や経験を活かすためにライターとしても活動しています。大事にしているのは、正当な取引がされたコーヒーを選んで生産者の支援に繋げることです。

 

マンデリンコーヒーとは

インドネシア産

ブラジルコロンビアグァテマラなどコーヒーの名前には国名で表記されるものが多いですが、一部差別化を図るために国名以外の名前が使われることがあります。

その内のひとつがマンデリン。

マンデリンコーヒーとは、インドネシアのスマトラ島で栽培されているコーヒー銘柄です。

生産量は少ないですが、日本に多く輸出しているため、私たちにとっては馴染みのあるコーヒーかもしれません。

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スマトラ島のマンデリン族による栽培が由来

実はマンデリンとは、マンデリン族という先住民族の名前から来ています。

スマトラ島のマンデリン族がコーヒー栽培を始めたことによってそのままマンデリンコーヒーと呼ばれるようになったのです。

そしてこのマンデリンのコーヒーは、スマトラ島のさらに限られた地域でしか栽培されていません。

マンデリンは全体の5%ほどしか生産されていない

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インドネシアは、コーヒー生産量で世界4位を誇るほどコーヒーを生産しています。

その9割以上がロブスタ種で、アラビカ種の生産量は10%ほどです。

そしてアラビカ種であるマンデリンは全体の5%ほどしか生産されていないため、マンデリンはとても希少性が高いのです。

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マンデリンコーヒーの特徴と味

スマトラ式と言われる伝統的な方法で精製

スマトラ式

マンデリンは、「スマトラ式」という独自の方法で水洗処理を行っており、水洗式(ウォッシュド)や乾燥式(ナチュラル)といった一般的に知られている精製処理方法とは少し異なります。

それはチェリーを乾燥させる工程に違いがあります。

スマトラ式はコーヒーチェリーの皮を向いて果肉を除去し、粘液質ミュシレージはそのままの状態で乾燥。

ある程度水分を飛ばしてから殻や薄皮を取り、再び乾燥させるといった方法です。

インドネシアは雨、スコールが多く、通常の精製方法のような乾燥時間を十分に確保できないのです。

その国や地域に適応した精製方法をマンデリン族が見つけ出し、現在も守られているのです。

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酸味が少なく苦味とコクが力強い味わい

コーヒー

マンデリンコーヒーは、チョコレートのような重厚なコクやほろ苦さがとても強いのが特徴。

酸味がとても弱いので、酸味が苦手な人にはぜひ飲んで欲しいコーヒーです。

またマンデリンは深煎りに焙煎されることが多いです。

他の豆は深煎りにすると、焦げの味が強く出たり、香りが飛んでしまって本来の風味がかき消されてしまいます。

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マンデリンの本来の風味は深煎りにすることで引き出される

焙煎

これはとても珍しいことで、マンデリン以外のコーヒー豆で深煎りにするほど、本来の風味を活かすことができる豆はあまりありません。

日本では昔から、喫茶店でコーヒーにミルクと砂糖を入れて飲む習慣が根付いていますが、マンデリンのコーヒーが多く使われています。

ハーブやシナモンなどのスパイス系の香り

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濃厚で苦味が強いマンデリンコーヒーは、もっとも時間をかけた深煎りで焙煎されることが多いです。

そのため香りも焦げた臭いがするのか?というと実はそうではありません。

マンデリンコーヒーの香りはアジア特有のハーブやシナモンなどのスパイシーな香りが特徴的です。

エキゾチックで独特な香りはマンデリンだけが持っている魅力です。

またこの香りは脳を活性化させる効果があります。

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▼マンデリンコーヒーの味わい

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マンデリンコーヒーの等級

受賞

等級名

ランク

G1

上位

下位

G2

G3

G4

G5

コーヒーの評価基準は産地ごとに異なります。

マンデリンのコーヒーはG1~G5の等級に分けられており、欠点豆の多さでグレードが変わっていきます。

欠点豆とは栽培環境や精製処理、保管している時などの状態が悪かったために出来てしまう未成熟豆や虫食い豆、カビ豆などのことです。

これらはえぐみや酸っぱさなどコーヒーの風味に悪い影響を与えてしまいます。

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G1(グレード1)がマンデリンの最高等級

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コーヒー豆300g中に欠点豆が0~3個なら、最高級である「G1(グレード1)」に格付けされ、欠点豆が増えていくにつれて「G2」「G3」「G4」「G5」と等級が落ちていきます。

そして日本のコーヒーショップでよく見かけるマンデリンは、ほとんどが最高級の「G1」です。

またマンデリンは手摘みで収穫され、出荷前に人の手によって小石などの異物や欠点豆を取り除く作業が行われています。

こうしたことによる手間が、マンデリンの質の良さや深煎りにしても風味が損なわれない理由のひとつになっているのでしょう。

特定の条件をクリアするとスーパーグレードと称される

山岳地帯 山間部

マンデリンの中でも「スーパーグレード」と呼ばれる、「G1」よりさらに上の品質を誇るコーヒー豆があります。

これはスマトラ島北部のアチェ地区とタケンゴン地区という場所の標高1,400~1,900mの高さで栽培されたコーヒー豆が当てはまります。

コーヒーは栽培されている標高の高さが高いほど熟すスピードがゆっくりになるので、風味が素晴らしいものになります。

また通常のマンデリンコーヒーの評価基準よりはるかに厳しく、繰り返しの手選別や大粒の豆だけを集めるといったことを徹底。

欠点豆を極限まで取り除いています。

生産量が少ないマンデリンコーヒーのなかでも一部のコーヒーなので、希少性はとても高いです。

そういった厳しい条件をクリアしたスーパーグレードのマンデリンコーヒーは、G1よりさらに味わい深く濃厚なコーヒーに仕上がっています。

地域によって確立された銘柄がある

マンデリンコーヒーの中でも、栽培される地域などによって確立された銘柄があります。

その代表的な銘柄を3つ紹介します。

マンデリン・トバコ

出典:Amazon

カルデラ湖・トバ湖の湖畔で栽培されており、透明度が10メートルを超えると言われているほど美しい湖です。

そんな場所で栽培された「マンデリン・トバコ」はマンデリンらしいコクや苦味の他、甘味を感じることができます。

リントン・マンデリン

出典:Amazon

リントンニフタ地区の「リントン・マンデリン」は豊富な雨量で栽培されたアラビカ種です。

トロピカルフルーツやスパイスのような風味が特徴です。

ガヨ・マウンテン

出典:Amazon

インドネシアの支援で生産されている銘柄で、唯一水洗処理方式を採用しています。

そのため酸味がきいており、苦味とのバランスが良いコーヒーに仕上がっています。

また20世紀では、近くの住民すら入れないほどイスラムの厳しい戒律に守られた地域であるため、「幻の豆」と呼ばれていました。

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マンデリンコーヒーの歴史

インドネシアにコーヒーが伝わったのはいつ頃でしょうか?

またインドネシアで栽培されているコーヒーはほとんどがロブスタ種なのに、なぜマンデリンコーヒーだけアラビカ種なのでしょうか?

歴史と共に解説したいと思います。

1696年にオランダ軍がジャワ島に持ち込む

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マンデリンコーヒーの歴史はとても古く、始まりは1696年頃にまでさかのぼります。

当時インドネシアはオランダの殖民地下にあり、オランダ軍がインドネシアのジャワ島にコーヒーの木を持ち込んだことがきっかけです。

インドネシアの気候とコーヒーの木の相性が良かったため、インドネシア全体にコーヒーが広まったとされています。

当時栽培していたのはほとんどがアラビカ種でした。

1908年にさび病によりロブスタ種がメインとなった

コーヒーの葉から蝕んでいくさび病

このまま現在まで変わらずコーヒーを栽培していたかというと、そうではありません。

1908年頃、植物の病気であるさび病によって、インドネシアで栽培していたほとんどのアラビカ種の農園は壊滅的になってしまいました。

さび病とはカビの一種で、この病気にかかってしまったコーヒーの葉は枯れてしまいます。

しかも葉から葉へ感染していき、最終的には大農園であっても全て枯れてしまうような恐ろしい病気です。

さび病は農園から農園へと移っていき、インドネシアからコーヒーは一度姿を消したのです。

そしてインドネシアの人々は再びコーヒーの木をイチから栽培するため、今度は病気に強く安価なロブスタ種をメインに切り替えることにしました。

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辛うじて耐え抜いたアラビカ種がマンデリンとなった

深煎り

さび病によってインドネシアのコーヒー農園は壊滅的な被害を受けましたが、奇跡的にさび病にも耐え抜いたわずかなアラビカ種が存在しました。

それがスマトラ島にあるアラビカ種のコーヒーの木です。

このアラビカ種をもとにコーヒーの木を栽培したのが、スマトラ島に暮らす「マンデリン族」だったのです。

今では希少性の高いアラビカ種のコーヒーとしてマンデリンコーヒーは世界的に人気を博しています。

マンデリン族がいなければ、マンデリンコーヒーは生まれていなかったかもしれませんね。

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マンデリンコーヒーの美味しい淹れ方と飲み方

最初はシンプルにドリップがおすすめ

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マンデリンコーヒーを手に入れたなら、最初はドリップして味わうのはいかがでしょうか。

お湯の温度が高過ぎたり、抽出時間が長すぎたりすると余分な渋みやえぐみまで出てしまう可能性があります。

マンデリンのような濃厚なコーヒーであればお湯の温度を低く、抽出時間も少し早めにしてもいいかもしれません。

またマンデリンの豆で水出しアイスコーヒーを作るのもおすすめです。

お湯で抽出して冷やすのではなく、時間をかけて水でゆっくりと抽出する水出しコーヒーアイスなら、しっかりした濃さがありながらもすっきりと飲むことができますよ。

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重厚なコクや苦味を楽しめる深煎りに焙煎

焙煎機

マンデリンコーヒーを楽しむなら、やはり深煎りに焙煎されたものをおすすめします。

先ほど解説したように、マンデリンコーヒーは深煎りにしてこそ本来持っている風味を活かすことができるのです。

深煎りはシティローストかフルシティーローストに当たります。

フルシティーローストまで来ると、エスプレッソ用として焙煎されることが多いですが、マンデリンコーヒーはこのぐらいまで焙煎してドリップしても美味しく飲むことができます。

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濃い目のコーヒーなのでミルクや砂糖とも相性抜群

ミルク

マンデリンコーヒーはそのままブラックでも飲むことができますが、ミルキーで苦味とコクがあるマンデリンコーヒーはミルクや砂糖とも相性が抜群!カフェオレにも適しています。

マンデリンは昔から日本に輸出していて喫茶店で取り扱うお店も多いため、馴染みのある人が多いのではないでしょうか?

チョコレートと表現されることも多いマンデリンコーヒーはチョコレートのほか、ショートケーキなどの甘いスイーツと一緒に食べるのもおすすめです。

マンデリンコーヒーは濃厚なので、ペアリングするものが同じ濃厚なものでも負けることはありませんよ。

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小野 青

小野 青

バリスタ/コーヒーマイスター/フリーライター

学生時代コーヒーの魅力に魅せられ、短期大学卒業後はフリーターでバリスタをしながらコーヒーを勉強しています。コーヒーマイスターの資格を取得し、現在はコーヒーの知識や経験を活かすためにライターとしても活動しています。大事にしているのは、正当な取引がされたコーヒーを選んで生産者の支援に繋げることです。

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