コーヒーの特徴と淹れ方

ブルーマウンテンコーヒーの特徴や味わい、歴史について解説します。

2022年5月20日

ブルーマウンテンコーヒーの特徴、歴史について解説します。

「コーヒーの王様」と称されることもあるブルーマウンテンコーヒーは、最高級品質のコーヒー豆として知られています。

日本人にも人気が高く、ブルマンという愛称で呼ばれていることは、みなさんもご存知の通りです。

そんなブルーマウンテンコーヒーですが、どんなコーヒー豆なのか、詳しく知っている方は意外と少ないのでは?

そこで今回は、ブルーマウンテンコーヒーの産出国や特徴、日本人に人気の理由などをわかりやすくご紹介しましょう。

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sora

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編集部ライター

至高の一杯に出会うために日々コーヒーを飲んでいる編集部ライター。あまりにもコーヒーが好きすぎて薄めて飲むようになりました。

 

ブルーマウンテンコーヒーとは

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「高級でおいしいコーヒーは?」と聞かれると、「ブルーマウンテンコーヒー」と答える方は多いのではないでしょうか。

それほど日本人に親しまれ、愛されているブルーマウンテンコーヒー。

ブレンドではない100%のブルーマウンテンコーヒーともなると、1杯1,000円はくだらないです。

ではブルーマウンテンコーヒーはなぜこんなにも高価で特別なのか。その秘密を紐解いてみましょう。

産出国はジャマイカのブルーマウンテン山脈

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ブルーマウンテンはジャマイカで作られています。

ジャマイカはカリブ海に浮かぶ小さな島国で、面積は岐阜県ほど。その土地の8割ほどが山岳地帯となっています。

コーヒーには様々な品種がありますが、ジャマイカで栽培されるコーヒー豆の多くがアラビカ種のティピカ亜種という品種で、ブルーマウンテンも同様です。

とはいえ、ジャマイカのティピカ種が全てブルーマウンテンかというと、そうではありません。

「ブルーマウンテン」という商標は、ジャマイカにあるブルーマウンテン山脈の、ごく限られたエリアで栽培されたコーヒー豆のみに与えられる特別なものなのです。

ブルーマウンテンが高価な理由のひとつが、この希少性にあります。

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ブルーマウンテンコーヒーの栽培環境

標高800m~1,200mでのみ栽培される

ブルーマウンテン山脈

ブルーマウンテンは、ブルーマウンテン山脈の中の、標高800m~1,200mのエリアで栽培された豆のみに与えられる商標です。

このエリアは国の法律でも厳密に定められています。

寒暖差が激しく豆が運動することでコクが出る

寒暖差

このエリアは山岳地帯で標高が高く、1日の寒暖差が平均8℃以上です。

この激しい寒暖差によりコーヒー豆は膨らんだり縮んだりを繰り返します。

これによりコーヒー豆が引き締まり、味にコクが生まれるのです。

ちなみにこれ以上標高が高いエリアになると、気温が低すぎてコーヒーが生育しません。

寒暖差が大きく、コーヒーが生育するギリギリのエリアに限定されているため生産量が少なく希少性も高くなるのですね。

霧が頻繁に発生するため土壌にも適度な水分が補給されている

霧

ブルーマウンテンには霧がかかることが多く、この霧がコーヒーの木にちょうどよく水分を与えてくれるのです。

降水量もコーヒーを栽培するのに最適であり、水はけが良いところも水分を適度に保つことができます。

さらに土壌が弱酸性で養分を豊富に含んでおり、コーヒーを育てるのに最適な環境です。

ジャマイカのコーヒー生産量は世界の0.1%

コーヒー豆

ブルーマウンテンの生産国であるジャマイカのコーヒー生産量が多いのかといえば、実はそうでもありません。

2019年度のデータによると、コーヒー生産量が世界で最も多いのがブラジルで、生産量は3,009,402トン。

ジャマイカのコーヒー生産量はおよそ7,000トンしかありません。

この量は世界の生産量のうちわずか0.1%ほどです。

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ブルーマウンテンの由来は青みがかったように見える霧

青みがかったように見える霧

先ほども触れたブルーマウンテンにかかる霧。

この霧が青みがかって見えることから「ブルーマウンテン」と呼ばれるようになりました。

また神秘的で美しい山という意味も込められています。

この霧によって補給される水分が、ブルーマウンテンを繊細で味わい深く仕上げているのです。

コーヒーの良さがすべてつまっているといわれるブルーマウンテンコーヒーは、様々な良い条件が重なって完成されたものだったのですね。

コーヒーの王様と称されるのも納得です。

ブルーマウンテンコーヒーの歴史

 ブルーマウンテンが栽培されるようになった経緯には、ジャマイカの国の歴史が深く関わっています。

その歴史を知ると、さらにブルーマウンテンコーヒーが味わい深く感じられるかもしれません。

1728年に総督ニコラス・ローズ卿により木の苗が輸入される

木の苗

ジャマイカのコーヒー栽培の始まりは、1728年のこと。

当時ジャマイカの総督だったニコラス・ローズ卿が、フランス領のマルティニーク島から持ち込んだコーヒーノキをテンプルホールに植えたことがきっかけでした。

コーヒーのプランテーションはブルーマウンテンエリアから始まった

農業 栽培

その後、イギリスによるプランテーションにより、コーヒー栽培が大々的に行われることに。

プランテーションとは、欧米諸国が熱帯や亜熱帯地域の植民地で行なった自国への輸出を目的とした単一作物の大規模農業のことです。

最初にコーヒーのプランテーションが始まったのが、ブルーマウンテンエリアでした。

これはブルーマウンテンエリアに住んでいたイギリス人貴族が、自分の家の周りでコーヒーのプランテーションを始めたため。

このときに植えられたコーヒーノキは、ニコラス・ローズ卿によって輸入されたものです。

ハイチ革命の難民により生産技術が伝授されて発展

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出典:https://ja.wikipedia.org/

当時コーヒー生産量が世界一であったハイチから、コーヒーの生産技術が持ち込まれたことも大きな要因でした。

その背景には、1791年に始まったハイチ革命があります。

ハイチ革命の難民がジャマイカに流れ着き、コーヒーの生産技術を広めたのです。

奴隷制度の廃止などの様々な理由で生産減少

小規模農園

ハイチからの生産技術により、19世紀初めにジャマイカは世界最大のコーヒー生産国となりました。これを支えていたのが奴隷の労働力です。

しかし奴隷たちの反乱がたびたび起こり、1838年には奴隷制度が廃止。

奴隷を労働力として利用できなくなったことから、コーヒー栽培は衰退していきました。

さらに農園拡大が原因の土地の侵食、土壌の流出など様々な問題が重なり、コーヒー栽培の衰退に拍車をかけました。

こうして最盛期の1814年には15,199トンもあったコーヒーの輸出量が、1850年には1,486トンまで減少したのです。

コーヒー産業公社(Coffee Industry Board)設立

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衰退したコーヒー産業を復興させるため、ジャマイカ政府は1950年にコーヒー産業公社を設立。

1948年設立と記されることが多いですが、コーヒー産業公社のホームページでは1950年とされています。

政府が生産を管理するようになり、再びジャマイカのコーヒーの品質は高まりコーヒー産業は復興を遂げました。

ブルーマウンテンなどコーヒー豆のブランド化も、コーヒー産業公社の功績です。

現在もジャマイカでは、品質を保つため国の定めた基準に満たないコーヒー豆は、出荷しない徹底ぶりです。

ブルーマウンテンコーヒーの特徴

ブルーマウンテンコーヒーが高品質でおいしいのには、様々な秘密があります。

ブルーマウンテンコーヒーの特徴とともにご紹介しましょう。

鮮度や高い香りを保つため木樽で輸出される

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ブルーマウンテンといえば、木樽を思い浮かべる方も多いかもしれません。

その様は高級感漂いますが、木樽に入れることで木が湿気を吸い、湿度や温度を一定に保ってくれます。

そのためブルーマウンテンの「ピーベリー」までのランクの豆は、木樽に入れて輸送されているのです。

現在も木樽を使ってコーヒー豆を輸送しているのは、ブルーマウンテンのみ。

品質管理に役立つ一方、今ではブランドのアイコン的な役割も担っています。

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厳格な品質基準とランク

人気度 評価

ブルーマウンテンの商標が与えられるエリアは、1953年に政府によってブルーマウンテン山脈の標高800m~1,200mと法律によって定められました。

さらに豆の大きさ(スクリーンサイズ)や欠点豆数によってランクづけもされています。

ブルーマウンテンを輸出できる業者も登録制となっており、認可の降りていない業者は扱うことができません。

ここまでしっかりと管理されているからこそ、ブルーマウンテンの品質は守られているのでしょう。

ブルーマウンテンコーヒーの等級(グレード)

ブルーマウンテンのランクは以下のようになっています。

ブルーマウンテンNo.1

ジャマイカのブルーマウンテン地区で生産された、ティピカ種のコーヒー豆のうち、欠点豆混入率3%未満、スクリーンサイズが6.8mm~7.2mmの間のものを指します。

ブルーマウンテンのおいしさを堪能したいなら、やはりNo. 1がおすすめです。

ブルーマウンテンNo.2

ジャマイカのブルーマウンテン地区で生産された、ティピカ種のコーヒー豆のうち、欠点豆混入率3%未満、スクリーンサイズが6.4mm~6.8mmの間のものを指します。

ブルーマウンテンNo.3

ジャマイカのブルーマウンテン地区で生産された、ティピカ種のコーヒー豆のうち、欠点豆混入率3%未満、スクリーンサイズが6.0mm~6.4mmの間のものを指します。

ブルーマウンテンピーベリー(Peaberry)

ジャマイカ・ブルーマウンテン地区で生産された、ティピカ種のコーヒー豆のうち、受精せずに丸いかたちとなったピーベリーという豆だけを集めたものを指します。

トリアージ(Triage)

ブルーマウンテンセレクトとも呼ばれるもので、許容範囲内ではあるものの、欠点豆の数が一定の基準を越えているものを指します。

ブルーマウンテンエリアから惜しくも外れたハイマウンテン

ブルーマウンテンの商標を与えられるのは、指定のエリアで獲れたもののみ。

そのエリアから少しでも外れたものは、ブルーマウンテンではなく「ハイマウンテン」と名付けられています。

ブルーマウンテンではないものの栽培環境は似通っており、その品質の高さから「ブルーマウンテンのいとこ」と称されることも。

ハイマウンテンも品質ごとにランクづけされており、ランクの高いものはブルーマウンテン同様木樽で輸送されます。

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ブルーマウンテンコーヒーが日本で人気の理由

ブルーマウンテンコーヒーの半分以上が日本に輸出されています。日本での人気ぶりが伺えますね。

ところが欧米諸国などでは、ブルーマウンテンの知名度は高くありません。

これほどブルーマウンテンが日本で人気なのには、主に2つの理由が考えられます。

味のバランスが日本人に合っている

日本

ブルーマウンテンコーヒーは、欧米ではあまり人気がなく「物足りない味」と言われることが多いです。

欧米人の好むコーヒーは、ガツンとした味わいのもの。ヨーロッパでエスプレッソコーヒーが飲まれていることからもわかるでしょう。

一方、日本人はクセがなく優しい味わいのコーヒーを好む傾向にあります。

その点、ブルーマウンテンコーヒーは味と香りのバランスの良さが特徴で飲みやすい味わいです。

▼ブルーマウンテンコーヒーの味わい

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日本のコーヒーメーカーが技術面と経済面の援助

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ブルーマウンテンコーヒーは、日本のコーヒーメーカーが、経済面や技術面で支援をして発展させてきた歴史があります。

ブルーマウンテンの風味は日本でウケると踏んでのことだったそう。

こうした経緯から、希少な豆にも関わらず日本はジャマイカから安定した量のブルーマウンテンを輸入できるのです。

キャッチフレーズ戦略が成功

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ブルーマウンテンを高価な価格でも売れるようにするため、「ブルーマウンテンは王室御用達」というフレーズを広めました。

そして「特別なブランド」とイメージづける戦略に打って出ました。

実際に王室御用達であったかは、定かではないそうですが…。

しかしこの戦略は見事成功し、今でも日本では多くの人が、「ブルーマウンテンは高品質で高級な豆」という印象を持っています。

ブルーマウンテンは日本に過去8割、現在は6割程度が輸入されている

コーヒー豆

希少なブルーマウンテンですが、実はその大半を日本に輸出しています。以前はなんと8割以上が日本に輸出されていました。

現在は日本以外の国でも需要が増えたこともあり、日本向けはおよそ6割ほどです。

日本でもおいしいコーヒーのバリエーションが増えたため「わざわざ高い値段でブルーマウンテンコーヒーを飲まなくても、おいしくて安いコーヒーがある」と考える人が増えました。

これも以前ほどブルーマウンテンの人気が高くないことも理由のひとつだと考えられます。

日本にはブルーマウンテンの日がある

ブラックコーヒー

2018年、ジャマイカコーヒー輸入協議会によってブルーマウンテンの日は1月9日と定められました。

ブルーマウンテンを日本に初めて輸出する船が、ジャマイカから出航した日が1967年1月9日だったからです。

ブルーマウンテンは収穫して出荷されるまでに厳しい天候や病害虫、品質検査を乗り越えなければなりません。

そのたくましい姿から、1月9日を「大事な人が勝つことを願ってブルーマウンテンコーヒーを贈る日として広めよう」と考えているということです。

今後、1月9日に受験生にブルーマウンテンコーヒーを贈るなんていうことがブームとなるかもしれませんね。

まとめ

なんとなく人気があって高級なコーヒーというイメージを持たれているブルーマウンテンコーヒー。

そのイメージは戦略的に作られてきたという側面はあるものの、おいしさがともなっていなければ、これほどまでにブームにはならなかったことでしょう。

ブルーマウンテンコーヒーの背景を知った上で味わってみると、一層味わい深く感じるかもしれませんね。

まだ飲んだことがないという方も、この機会に一度味わってみてはいかがでしょうか。

この記事を書いた人

sora

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編集部ライター

喫茶店で豆を選んでみたり、淹れ方を変えてみたりと至高の一杯に出会うために日々コーヒーを飲んでいる編集部ライター。
あまりにもコーヒーが好きすぎて薄めて飲むようになりました。
薄いコーヒーは麦茶の味。カフェイン中毒にならない程度にがぶ飲みしつつ記事を書いています。

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